東京の競争力を上がるために
クルマの総量規制が必要ではないか

 東京全体の耐震構造化を図るためには、何から手をつければいいのだろうか。今回の東日本大震災でも埋立地の一部では液状化が生じて大きな被害を受けた。地盤の強弱を点検して、できれば弱い所から、建造物が実際に耐震基準に合致しているかどうか、改めて耐震構造をチェックし、問題が見つかれば直ちに耐震工事を指導すべきであろう。

 ところでわが国の災害の歴史を振り返ると、関東大震災が未曽有の大惨事を引き起こした原因は、火災であった。東日本大震災の夜、2時間余り歩いて帰宅したが、目にしたのは幹線道路を埋め尽くした一向に進まない車の列だった。もし、直下型地震が今東京に襲いかかれば、おそらく幹線道路は火の海となり、歩道を黙々と歩いている人々も含めて大惨事になるのではないかと、ぞっとした記憶がある。

 このリスクを軽減するためには、(ガソリン車を前提とする以上は)おそらくクルマの総量を規制するしか方法がないだろう。東京は、世界の他の主要都市と比べても、JRや私鉄、それに地下鉄が四通し、また、タクシーの数も際立って多い。業務用車両を別にして、自家用車の乗り入れを制限したとしても、日常の経済活動に支障が生じるとは考えにくい。ナンバープレートの偶数番号と奇数番号による相互乗り入れなど、すぐに実行できる対策には、いくらでも工夫の余地はあるはずだ。

 このような災害リスクを軽減させることは、都市の競争力を高める上で極めて重要である。そして大都市・東京の競争力を高めることが、この国の復興のカギとなることは間違いない。

(文中、意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である)