ユニクロ流「プロフェッショナルマネジャー」5つの条件

 巻き込みを実現するためには、マネジャー自身もマネジメントのあり方を真剣に考える必要があります。

 ユニクロでは、プロフェッショナルマネジャーの心得ともいうべき5つの条件が共有されていました。これは「巻き込み仕事術」を実践するための基盤となります。

 柳井さんは、これまでさまざまなメディアでマネジャーのあり方について発言されていますし、『プロフェッショナルマネジャー』(ハロルド・ジェニーン/プレジデント社)という書籍が、自身の経営の原点になったことも公言されています。

 しかし、この5つの条件は、私が実際に柳井さんの発言を見聞きし、社内で共有され、活かされていると感じたマネジメントのあり方であり、いわば内側から見たユニクロ流「プロフェッショナル・マネジャー」の条件です。

 奇跡のV字回復を果たしたユニクロの強さの秘訣は、このマネジメントを徹底していたからといっても過言ではありません。
   5つの条件とは次のようなものです。

(1)前始末(前準備が仕事の成功を決める)
(2)徹底力(当たり前のことを100%実行する)
(3)走りながら考え抜く(スピードと本質思考の重視)
(4)発信者責任主義(相手を動かすのは伝える側の責任)
(5)一緒になって考える(マネジャーは徹底的にコミットする)

 ユニクロで共有されていたコンセプトというのは、非常にシンプルなものでした。
   柳井さんが誰にでもわかるシンプルな言葉を選び、これら5つの条件を繰り返し話していたということもありますが、シンプルであることは非常に重要です。

  トップのビジョンが複雑では、社員は何をするべきかわからないままになってしまいます。

 この5つの条件についても、『ユニクロで学んだ「巻き込み」仕事術』という本で詳しく解説させていただきましたが、巻き込みを実践するための基盤であり、ユニクロの強さを支えているDNAです。

 〈個〉から〈チーム〉の時代へと移り変わっている今、ユニクロが実践している「巻き込み」という発想と、マネジャーに徹底されている5つの条件は、普通のビジネスパーソンにとっても参考になることが多いはずです。

 あらゆる逆境にも、個ではなくチームとして団結して立ち向かうのがユニクロの強さです。

   今、不景気や天災という困難な時代に立たされた私たちにとって、みんなで手を合わせてチームで考え、成果を出すというユニクロ流の仕事術には、多くのヒントが隠されているはずです。

ユニクロで学んだ「巻き込み」仕事術【後編】<br />外資系の部長もユニクロでは役に立たない!?<br />ユニクロ流「プロフェッショナルマネジャー」5つの条件
田中雅子(たなか・まさこ)
静岡県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。イギリス留学を経て、慶應義塾大学大学院などを修了。LLM(法学修士)、MBA(経営学修士)。
株式会社ファーストリテイリング(ユニクロ)に経理部マネジャーとして入社。経理部や監査部所属にもかかわらず、周りを巻き込みながら数々の全社プロジェクトをゼロから一人で立ち上げマネジャーを兼任。ウイメンズのヒット商品が生まれる土壌となった「ダイバーシティ・プロジェクト」を立ち上げ、ユニクロⅤ字回復の一翼を担った。
その後、一部上場企業執行役員、子会社社長を経て独立。現在、田中総研代表。経営戦略、経営企画、ダイバーシティ、人材再生などの経営総合コンサルティングや企業研修、講演、執筆など幅広く活動している。
ユニクロで学んだ「巻き込み」仕事術【後編】<br />外資系の部長もユニクロでは役に立たない!?<br />ユニクロ流「プロフェッショナルマネジャー」5つの条件

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