富士通や三井物産など、一度は成果主義を導入したものの、大幅な軌道修正や見直し、あるいは撤廃を余儀なくされた会社も少なくありません。

 ただ、その一方で、成果主義のブームから10年が経ち、「成果」を最も重視するという考え方は、日本でも広く定着してきています。

成果を重視するのは当然だが
数字だけを基準にすると危険

『人事の超プロが明かす評価基準』西尾太 著 三笠書房刊 1300円+税

 月刊誌『THE21』(2015‐4/PHP研究所)の特集記事「いつも評価が高い人vs.なぜか評価が低い人」のアンケート調査で、大変興味深い結果が出ています。

「あなたの会社の人事評価で最も重視されているのは何だと感じますか?」という質問に対して、評価「される」側の回答の1位は「個人の成果」(38・8%)。それに対し、評価「する」側が重視している項目の1位も、まったく同じ結果(38・8%)でした。

 さらに、「何を最も重視する人事評価制度だと、納得感が高いですか?」という質問に対しても、評価「される」側の回答のトップは「個人の成果」(39・8%)という結果になっていたのです。

 多くの企業の不明確な評価基準や、上司の好き嫌いによる不公正な評価などに対する不満が、自分の頑張った結果が公正かつダイレクトに反映される「成果を重要視する人事制度」を望む声になっているのかもしれません。

 成果を重視することについては、私も異論はありません。給与とは、会社に提供した価値の対価ですから、成果を重視するのは当然だと思います。

 ただし、数字や売上「だけ」を評価基準にしてしまうと、多くの危険を伴うことになります。

 ある企業の経営者から、こんな相談を受けたことがありました。

「うちの会社のある部署では、部下は軒並み評価が低いのに、その上司である課長だけが飛び抜けて評価が高くて、自分だけ多く報酬をもらっているんだ。部下の評価が低いのは、上司である課長の責任なのに、こんな状況はおかしい。そんなことにならない人事制度にしてほしい」