住宅手当や家族手当がある会社は、一見社員思いのいい会社のような印象を受けるが、半面、社員の「評価」に無頓着で、公平さに欠ける会社ともいえる。『人事の超プロが明かす評価基準』の著者で、人事コンサルタントの西尾太氏は、成果主義の広まりとともに、属人的な手当は廃止して給与を「評価」で決めようという流れが、社会全体の主流になると説く。

実家暮らしの人には
補助が出ないのは不公平では?

 管理職や評価者の研修を行なっている際、あるいは学生に就職アドバイスをしているときに、私がよくする質問があります。

「住宅手当がある会社は、いい会社だと思いますか?」

 この質問をすると、100%に近い人が「はい、いい会社だと思います。働くほうとしては、住宅手当はすごくありがたいです」と答えます。

 でも、私は必ずしもそうは思いません。

 住宅手当とは、社宅、独身寮の提供、家賃補助、持ち家支援の社内融資制度などの名目で、社員の住まいに気を配る福利厚生の1つです。

 こんな制度があると、社員思いの、いい会社であるかのような印象を受けるでしょう。