週刊ダイヤモンド 人生80年、1日3食で計算すると、人は死ぬまでに、実に8万7600食もの食事を摂ることになります。1回の食事に1時間かけるとすると、80年の人生のうち、10年分は食事にかけることになるのだから、驚きです。

 そんな欠くことのできない「食」なだけに、その供給を担う食品・外食の市場規模は、なんと60兆円にも上ります。自動車の国内市場規模が25兆円ですから、さすがというかなんというか。

 これだけパイがあれば、「この産業は未来永劫安泰だ」と考えがち。しかし最近、こんな言葉をよく耳にしませんか?

  「この頃、年のせいかあんまり量が食べられなくなったな。すぐ胃がもたれるし」

  「昼代に1000円? ダメダメ、節約しなきゃ。最近じゃ、お弁当を持って来ることだってあるよ」

 そう、世は高齢化と節約の時代にあるのです。「胃袋の容量減」に伴って食の摂取量が減り、節約志向で外食も控えられる。そのうえ少子化による人口減! 胃袋の絶対数まで減っていくわけです。

 この状況を憂いながら、ふと食品・外食を企業レベルで見てみると、その規模の小ささにしばし愕然とします。最近M&Aで世間を賑わせているキリンホールディングス(業界1位)ですら1兆8012億円。外食に至っては、業界1位のマクドナルドですら3951億円しかありません。

 小粒な食品・外食企業が生き延びる道はどこにあるのか? やはり再編は必要なのか!?

 今回の特集では、食品・外食企業の現状の見方と成長戦略をつぶさにレポート。流通からの圧力や賞味期限の意外な落とし穴など、悩みが尽きない食品メーカーが成長のためにとる次の一手とは!?

  「ファミレス離れ」の原因究明には、ファミレスの父・すかいらーく創業者の、横川氏の回顧録を読むのがおススメです。今は昔、「シャレオツ」だった頃のファミレスがそこにはあります。

 身近な食品・外食業界の激変が予感できるはず。ぜひご一読ください。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 新井美江子)