PM2.5とは、毛髪の直径より細くて小さい微小粒子で、自動車の排気ガスや工場の排煙、燃焼による排出ガス、黄砂などの砂塵、たばこの煙などに含まれる。微小粒子は肺の奥深くまで入り込みやすく、全身の炎症を引き起こすため、呼吸器や循環器疾患の原因になることがよく知られている。長い年月、受動喫煙にさらされ遺伝子に傷が付くと、がんなどの病気を発症する(図4参照)。

【図4】怖い受動喫煙

 大和教授は、さらに飲食店の協力を得て、ファミリーレストランや喫茶店、居酒屋でも店内の禁煙席と喫煙席、店長の胸元にも測定器を設置するなどして、大気中のPM2.5を測定する実験を繰り返した(図5参照)。

【図5】飲食店等では従業員の受動喫煙こそ深刻

作成:産業医科大学・大和浩 拡大画像表示

 例えば、自動ドアで喫煙室と禁煙室が区切られている喫茶店では、喫煙室で喫煙者が集中する時間帯にはPM2.5が1000μg/m3を超えていたことがわかった。

 2013年、北京から大気汚染が越境して大騒ぎになったときのPM2.5は700μg/m3。たばこの煙に含まれるPM2.5は、大気中のPM2.5と必ずしも同じ成分ではないが、「健康被害への影響はほぼ同じ」(作田理事長)という。

 日本国内では、環境省が環境基準としてPM2.5について、「1年間の平均値が15μg/m3以下」「1日の平均値は35μg/m3」と設定している。

 同じ喫茶店の禁煙席では、平均的には前述の環境基準の35μg/m3前後だったが、喫煙室に喫煙者が集中する時間帯には70μg/m3まで上昇したこともあった。都道府県などが外出を自粛するなどの注意喚起をするときの目安は1日の平均値が70μg/m3である。つまり、禁煙席に座っていても、何度も受動喫煙を経験しているうちに健康被害が起こる可能性が高まることが検証された。