引きこもり男性の26.3%が発達障害の可能性
働きだして初めて自覚する当事者たち

 中でも注目されるのは、広汎性発達障害の可能性を調べる「AQ-J-16テスト」の得点結果だ。広汎性発達障害とは、コミュニケーションに支障のある人たちで、自閉症やアスペルガー症候群なども含まれるという。

 引きこもり本人の調査結果を見ると、広汎性発達障害の可能性が高いと思われる11点以上の得点人が、男性は16人。男性全体の26.3%で、4人に1人以上という高い割合を占めた。女性は3人で、女性全体の15.8%だった。

 境准教授は「日本人全体の平均が1%前後とされていることを考えると、引きこもり本人の中に、広汎性発達障害の可能性のある人が4分の1以上の高い割合で含まれていることは、注目に値する」と指摘する。確かに、本人がある程度自覚して訪れるような精神保健医療機関のデータではないことを考えると、興味深い割合といえるかもしれない。

 さらに、父母などによる代理回答を見ると、「新しい状況は、本人を不安にする」と答えた人が最も多い第1位で、78.4%に上った。

 続いて第2位は、「一度に2つ以上のことをするのは簡単だ」に対して「いいえ」と答えた人で、69.9%だった。

「この2つの質問は、“注意転換の困難(こだわり)”に関するものです。一般の人に比べて、何かをしながら別のことをやるような、注意の配分の苦手な方が多い。機転が利かなくなり、コミュニケーションや臨機応変さが弱くなります。こうした注意転換の困難さが、引きこもりと何らかの関係があると考えられます」(境准教授)

 そして、第3位は、「自分がモノよりも人に強く惹きつけられていることに気が付いている」に「いいえ」と答えた人で60.6%。つまり、人と関わるよりも、モノに関心が行きやすい。話をしているときも、周りの風景ばかり見ている傾向があるという。

 ちなみに、第4位は「物事を自発的にすることを楽しむ」に「いいえ」と答えた人で、59.6%。つまり、自主性の問題だ。

「発達障害の診察を受けたことがありますか」の問いには、「ある」と答えた人は24人。全体のわずか7.2%だった。

「大学時代までは、何とかやっていけるのですが、ただ、働きだすと、コミュニケーションで行き詰って、職場不適応になってしまうと考えられます」(境准教授)