日系企業を経て、外資系証券会社へ勤務後、お金のふやし方を学び、現在、1億円を超える年収がある著者:生形大氏が書いた『9割の日本人が知らないお金をふやす8つの習慣』。本連載では、本書の内容のダイジェストで構成したものを紹介する。
投資に「確実に儲かる手法」はない!
「リスクがない」をうたい文句にした詐欺は世の中にたまに出てきます。たとえば過去には「ブックメーカーアービトラージに投資する商品」の巨額詐欺が話題となりました。
ブックメーカーとは、イギリスなどで盛んな公営ギャンブルのこと。競馬、サッカー、野球、選挙結果などを賭けの対象としています。
アービトラージとは「さや抜き」のこと。同じ価値を持つ二つのものに価格差が生じていた場合、安い方を買って高い方を売ることで、利ざやを稼ぐ手法です。
ブックメーカーを運営しているウェブサイトはいくつもあり、同じ賭けの対象を取り扱っていることもあります。それぞれのサイトでオッズが異なることがあり、その差を利用するのが「ブックメーカーアービトラージ」です。
たとえばAチーム対Bチームのサッカーの試合があり、ブックメーカーX社とブックメーカーY社のオッズが異なっているとします。この時に、X社ではAチームが勝つ方に賭け、Y社ではBチームが勝つ方に賭けます。
賭け金額はそれぞれのオッズに応じて調整します。
すると、どちらのチームが勝っても損することはなく、「さや」の分だけ利益が獲得できてしまいます。「リスクなしで稼げる」手法として注目され、一時期は高額な情報商材が人気になるほどでした。
ちなみに私も試してみたことがあります。その結果は、「確かに理論上はリスクなしで稼げるけれど、実際にやろうとすると難易度が高い」でした。
ブックメーカー同士の「さや」を見つけるのが難しかったり、「さや」が一瞬で縮まってしまうのでスピード勝負だったりと、問題がいくつもあり、結局やめてしまいました。
さて、そこで問題なのが、「100%稼げるブックメーカーアービトラージに出資する」という名目で、多くの人からお金を集めたファンドが登場したのです。
このファンドもやはり「月に3~10%の配当を出す」という触れ込みで出資者を募っていました。さらに悪いことには、他の出資者を紹介するとキックバックを受け取れるマルチ商法にもなっていたのです。
その後どうなったかはご想像の通り。運用開始から数年後には破綻し、数百億円の出資金が消えてなくなってしまいました。裁判にもなり話題になっていたのでご存じの方もいるかもしれません。