AKB48の場合、今年の選抜総選挙の盛り上がりやCDの売れ行き状況をみると、一部の熱烈なファン層から、ライトなファン層に人気を広げていることが分かります。公式な発表はありませんが、売上的にも昨年夏を境に急上昇しているものと思われ、現在もPLCの”成長期”にあると位置づけられます。では、いまなお“成長期”にあるAKB48が、一時的なブームに終わらず、どうすればさらに成長を重ねていけるのかを“アンゾフの成長マトリックス”のフレームワークを使って検討してみます。

アンゾフの成長マトリックスから
AKB48の次の戦略を予測する

 “アンゾフの成長マトリックス”は、どんな市場にどんな商品を投入していけば、事業が成長、発展できるかを検討するのに有効なフレームワークです。

 AKB48の成長マトリックスを図に表したものが上図です。ヨコ軸に「商品の分野」、タテ軸に「市場の分野」という要因を置きます。さらにヨコ軸は、“既存商品”と“新規商品”に分け、タテ軸は、“現在と同じ市場”と“新しい市場”に分け、結果として4つの戦略カテゴリーができます。

 4つの戦略カテゴリーの意味とAKB48プロジェクトの過去の活動を分類したものが下表です。

 この表で明らかなように、AKB48は①市場浸透戦略を中心に、②商品開発戦略を適宜使いながら、③市場開拓戦略は地方に同じコンセプトのグループを投入する、という形で、PLCの成長期を迎えています。ただ、東京(AKB48)、大阪(NMB48)、名古屋(SKE48)という3大経済圏に進出済みであること、人気上位のメンバーがやや固定化していること、正統派女性アイドルグループが進出できる分野へは、ほぼすべてに進出していることを考えると、さらなる成長のためには何か次の大きな一手、新商品の投入が必要になるでしょう。