年金改革は保険の原点に戻るべき
年金制度は本来的には(生存)保険の原理を活用した仕組みであって、現在は、原則として、一定の年齢到達(65歳)を保険事故(支払い事由)と見なして、終身年金を支払う制度が根幹となっている。
しかし、年金のそもそもの趣旨は高齢になって所得がなくなることへの備えではないか。そうだとすれば、保険事故の定義を「一定の年齢への到達かつ一定の所得以下」と変更すべきではないだろうか。平たく言えば、一定以上(例えば国民平均以上等)の所得がある高齢者には年金を支払う必要がないと考えるがどうか。
次に、物価スライドは当然として、支給開始年齢の引き上げについてであるが、アメリカやドイツのように67歳に引き上げる設計をすでに行っている国もある。周囲で見聞きする高齢者の健康ぶりを考えても大筋では引き上げには異論はないものの、大切なことは働く場を供給することであろう。
幸いにもわが国はこれから大幅な労働力不足が想定されているので、さほどの心配は不要と考えるが、定年を延長もしくは廃止した企業には奨励金の付与や法人減税を行う等のインセンティブを上手く組み合わせ、社会全体として働く意欲のある高齢者には少なくとも65~70歳程度までは雇用の場を提供していくことが要請されよう(ちなみに3年前に開業した当社では、就業規則で定年制を設けず、年齢フリーを実現している)。