住み替えを決意するなら
マイナス金利の今が狙い目!

 住み替えるときの資金計画は、今の家を売却してローンを完済し、残債をゼロにする。そして残ったお金があれば、住み替えの家の頭金にするというのが理想形です。

 この場合、何十年も前に今の家のローンを組んだ人は、現在の低金利で新たに住宅ローンを組み直すことになるため、借り換えと同じ効果も望めることになります。

 一方、今の家の売却代金だけでローンを完済できない場合は、住宅ローンではなく、「住み替えローン」を組むことになります。審査は厳しく、金利も少し高めとなりますが、住み替え物件の購入代金や諸費用分に加え、前の家のローン残債を上乗せして借りることができます。

 ここで一昨年、50代で埼玉県の郊外から都内に住み替えをした、Aさんご夫婦のケースを見てみましょう。

車が不要の好立地へ住み替えで
家計負担も大幅にカット!

 Aさんご夫婦の前居は1階がLDKと和室、2階に洋室と2つの寝室がある典型的な4LDKで、延べ床面積が約140m²という広めの一戸建てでした。庭がお気に入りで、20年間暮らしましたが、駅や商業施設、病院などから遠いため、夫婦それぞれが車を所有するなど、維持費やガソリン代で月々かなりの金額におよんでいました。

 そこで、子どもが独立した後、車を手放すことを前提に、利便性の高い都内への住み替えを検討し始めました。車の維持費を考えれば、多少、住宅ローンの返済額が増えても、トータルでトクをするという考えからでした。

 1年ほど物件探しを続けた結果、希望どおり、都内で駅から徒歩10分圏内の新築マンションを購入することに決定。同時に進めていた前居の売却話も約2500万円でまとまり、住宅ローンの残債約300万円を差し引いた約2200万円を新居の頭金に。そして、購入代金の約4000万円に対し不足する1800万円は15年返済の住宅ローンを組みました。

before 4LDK/約140m² 広い一戸建ては夫婦2人暮らしなので、2階にある独立した子ども部屋は物置状態。掃除のために階段を昇降するのにひと苦労だった
after 2LDK/約70m² 夫婦2人には標準的な広さのマンションで収納が充実。Aさんにとっては駅前という立地条件が購入の決め手になった

 新しい住まいは2LDK、約70m²。都内の新築マンションとしては標準的な広さですが、140m²あった前居からすると、半分の広さしかありません。しかし、階段のスペースがなくなったことと、住み替えに当たって不用品を処分したことにより、「数字的には狭くなりましたが、不自由さはまったく感じていません。駅近になったぶんフットワークがよくなり楽しみが増えました」と言います。

 これまでは車での移動がほとんどだったため、ご夫婦二人でお酒を飲みに行くようなことはほとんどなかったそうですが、そんな楽しみも加わり、新しい生活を満喫しているそうです。

 また昨今、高齢者の交通事故も話題になっていますが、そこには「危険を承知でも車がないと生活できず手放せない」という背景があります。車のいらないエリアへの住み替えは経済面だけではなく、そうしたリスク面でもメリットがあります。

 ここまでは、郊外の一戸建てから都心の分譲マンションに住み替えるパターンを中心にご紹介してきました。ほかにも、広めの分譲マンションから、より狭い分譲マンション、また賃貸マンションなどに住み替えるという選択肢もあります。

 次回は、それらを踏まえながら、住み替えのメリットや成功させるポイントについてお話しします。