自覚症状が表れにくいことからしばしば「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。今や日本人男性の3人に1人が、何らかの肝機能異常を抱えているという。肝臓は体内の解毒や代謝といった重要な役割を担う臓器。健やかな毎日を過ごすためには、普段から意識してケアすることが大切だ。実は私たちもよく知っているある野菜が、肝臓のケアに役立つのだという。

 電力不足への懸念から、全国的に「節電」がテーマとなっている今年の夏。自宅やオフィスはもちろん、商業施設や交通機関に至るまで、冷房の設定温度は例年よりもぐっと控えめ。いつにも増して、冷たいビールのありがたみが身に染みている人も多いのではないだろうか。

日本人男性の3人に1人が
肝機能の異常を抱えている

 しかし、そうした日々の「小さな幸せ」も、度を過ぎれば自らの健康に害を及ぼすことになりかねない。実際、2009年のデータでは、健康診断を受けた人のうちおよそ4人に1人の割合で何らかの肝機能異常が認められた。男性に限っていえばおよそ3人に1人と、さらに割合は高くなる。

 肝臓は2500~3000億個もの細胞から成り立っており、アルコールや薬などの有害物質を無毒化する「解毒」、食事などで摂取した栄養素を活動に必要な形に変える「代謝」、脂肪の消化吸収を助ける「胆汁の生成」といった重要な役割を果たしている。「沈黙の臓器」と呼ばれ、異常が起こってもなかなか自覚症状が表れにくいのも特徴だ。

 解毒や代謝をスムーズに行うため、肝臓には常にたくさんの種類の酵素が存在している。健康診断でおなじみの「γ-GTP」「GOT(AST)・GPT(ALT)」はいずれも通常は肝臓内にある酵素で、肝臓の細胞が壊れると血液中に流れ出る。この酵素の量を測ることにより、肝細胞がどの程度破壊されているのかをチェックしているというわけだ。

 ちなみに「γ-GTP」は主にアルコール性の肝機能異常を、「GOT(AST)・GPT(ALT)」はウイルスや薬剤の影響による肝機能異常を測定するために用いられている。肝臓は人間の生命活動に欠かせない機能を持つ大切な臓器。健康診断の結果や、「だるい、疲れやすい」「食欲がない」といった身体からのサインを見逃さず、日常的なケアを意識して行いたいものだ。

 しかし、具体的に何をすればよいのだろう? そのカギを握るのも、やはり酵素だ。私たちの体内にもともと備わっている解毒酵素の働きを活性化することが、肝機能の向上に大きな効果をもたらすことが分かっている。実は、私たちもよく知っているある野菜に、この解毒酵素の活性を促す成分が含まれているのだという。