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コンテンツ業界キャッチアップ

カプコンの開発統括トップ、一井克彦専務に聞く
世界市場での闘い方とゲーム業界の真のチャレンジ

石島照代 [ジャーナリスト]
【第20回】 2011年8月2日
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 だから、我々メーカーは、冒頭に指摘された「SNSゲームビジネスが浸食したため家庭用ゲーム機市場が落ち込んでいる」という状況を時代の流れではなく、一時的な問題にしなきゃいけない。もっと積極的にチャレンジしていかないと、この傾向は続くと思います。

石島:現在、携帯電話端末のスマートフォンへの移行が進んでいますが、この件もソフトメーカーにとって福音となるのではないでしょうか。端末の能力に併せてよりリッチなコンテンツが求められる状態になるわけですから、大手のソフトメーカーにとってはビジネスチャンスが増加すると思います。

一井:こちらも、その通りですね。スマートフォンになれば、当然今までよりグラフィック能力も上がりますから、ユーザーの欲求もあがります。結果コンテンツがリッチになる。そうすると、SNSゲームビジネスも、今までと違う付加価値が求められるでしょう。そして開発費は絶対にあがる。今は、我々のゲームビジネスが培ってきたノウハウや経験が重要になる局面がすでにきていると思っています。

 そして、当然「ソーシャル」の位置づけも変わると思います。我々はすでに「モンスターハンター」で、一つのソーシャル性を実現していますよね。上手な人が初心者を助けてあげている状況は、どう考えてもソーシャルでしょう。こういうところで培われた心理的ノウハウもしっかり生かしていきたいと思っています。

「PS VitaとWii Uで遊んでみたい」という、
たくさんの読者の存在に勇気をもらえた。
まだまだ日本のメーカーは、がんばれる

石島:話は変わりますが、今年のE3は新型ゲーム機の発表など話題が豊富だった一方、日本勢の活躍が少なく日本人関係者としては残念な思いをしました。

一井:私もとても反省しているのですが、マスコミの注目度が世界的に高いハードメーカーのカンファレンスで、カプコンが十分にその存在感を発揮できなかったのは、本当に残念でした。アクティビジョンさんやEA (エレクトロニック・アーツ)さんなど、海外有力パブリッシャーは、どこでもファーストクラス待遇で登場されているのに。カプコンも頑張ったんですけど、プレミアムエコノミーくらいかなっていう(笑)。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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