前回のコラムで、わが国では、実は20代(や30代)が一番貧しいという事実を指摘した。これは考えれば考えるほど由々しき事態である。これから子どもを産み、子育てを行って次の時代を担う若い世代の所得水準が、このような状況で果たしてこの国は未来に確信が持てると言えるのだろうか。一体改革成案の最初に置かれた課題が医療や年金ではなく「子ども・子育て支援、若者雇用対策」であるのはもっともなことである。
ところで、若者の所得が低い原因は俗にフリーターと呼ばれる非正規雇用労働者の存在にあると言われている。わが国の非正規雇用労働者は、1797万人(出典:総務省統計局 「労働力調査(詳細集計)2010年10~12月期平均(速報)」)を数えるが、その内、25歳から34歳の若者世代が、失業者にほぼ匹敵する309万人を占めている(この他、在学中を除いた15歳から24歳の世代が113万人いる)。このように若い世代の非正規雇用労働者が増加している背景には一体何があるのだろう。
成人した子どもと一緒に住む親には所得税を重加算せよ
人間が動物であることを直視すると、奇妙なことに気づく。
動物の世界では、一般に、成人した子どもと一緒に住む動物はいない。一方わが国では、成人した子どもと一緒に住んでいる親がけっこう多いように見受けられる。諸外国ではどうだろうか。欧米の先進国では、18歳前後で子どもが親の家を出るケースが普通のようだ。要するに欧米の先進国では動物としてのルールを厳然と守っているということになる。