青田買いで新卒一括採用された若者は、その後企業や役所で出世の階段を登って行くことになるが、その際のポイントは、何年入社組であるかということだ。今でも大企業や役所では一番若い部長・役員や局長・次官は何年入社組から抜擢したと大真面目に語られるのが常である。すなわち実力も必要だが、何年に入社したという「年功」が極めて重要な意味を持っているのだ。しかも、終身雇用で定年が定められているので、浪人や留年をせずにできるだけ早く入社した方が自然とメリットが大きくなるような制度設計がなされている。

 このようにわが国の労働慣行では青田買い・年功序列・終身雇用・定年制がいわばワンセットで分かち難く結びついている。スタート時点で躓いた若者には、そもそも挽回できるチャンスが与えられていないのだ。これでは、フリーター等現在の低所得の若者を救うことは到底できない相談である。

 このように考えてみると、長期的には若者をできるだけ早く家から追い出し、青田買いを起点とするわが国独特の年功序列システムを、同一労働同一賃金制と雇用の流動性を高める制度に置き換えることこそが、若者の雇用問題を真に解決する唯一の道ではないだろうか。

 どのような分野であれ、構造改革を恐れ問題の先延ばしを行って現状を糊塗することほど、社会の活力を損ねる営為はないことをもって瞑すべきである。

 蛇足ではあるが、若者がベンチャー企業を次々と起こして自らの雇用を創出することが、最善の解決策であることを最後に付言しておきたい。