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ソーシャルメディア進化論

【第4回】
ソーシャルメディアが浮き彫りにする個人の孤独

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第4回】 2011年8月9日
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「価値観×情報交換」のエリアでは
現実のしがらみから解放された発話が生まれる

 つづいて、価値観と情報交換とが重なるエリアではどうでしょうか? そこでは、担保された匿名性によって現実生活のしがらみから解放され、私たちは自由に発話できるようになります。

「価値観×情報交換」のエリアでは匿名性の高い自由な発話環境が生み出され、有益な集合知がつくられる。

 つい最近まで、情報というのはマスメディアに一極集中しており、マスメディアが放つ情報以外のものが公的なみんなの空間に現れることは難しい状況がありました。しかしインターネットにおいては、集合知がマスメディアを代替します。いままで聴こえなかった小さな声にも気づくようになりました。

 インターネットで検索すれば、どんな細かい情報でも瞬時に探すことができます。その情報が10年に1回しか検索されないものだとしても、図書館の棚を必要とするわけでもなければ新聞の枠を必要とするものでもありません。

 情報もマッチングが求められる時代になりました。どんなに質が高くても自分と関係が薄いものであれば価値は低い。多少質が劣ったとしてもより自分に合ったものを探したい。これが現代の消費者のニーズとなっていることを知れば、大型液晶モニターで観るハイビジョンの映像とくらべて、画質も音質も悪いYouTubeがなぜ人気があるのかも理解できます。

 このエリアのソーシャルメディアは、目的を持って集まる和の重なりをつくります。有用性を求めて拡大する集合知と自由な発話環境とが組み合わさり、それらは一気に加速します。マイノリティに光を当て、多種多様な価値観を内包する公共圏(みんなの空間)を示唆します。

 しかし、ここで素朴な疑問が湧いてきます。

 声なき声はどうなるのでしょうか? 声を発することができないもの、もしくはその機会に気づいていない声はどうなるのでしょうか? 声がなければ、検索することもできず、そこに関心を寄せることもできません。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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