「フェイスブックの世界人口は5億人超」「Google+は開始から1カ月で2500万に達した」――。低成長の経済状況とはまるで別世界の話のように爆発的成長を続けるソーシャルメディアだが、その行く手は果たして視界良好と言えるだろうか?
好評連載第4回となる今回は、ソーシャルメディアの人気に陰を落としかねない気がかりな要素について語っていただく。

【第1回】「ソーシャルメディアは死んだ」と言われる日は近い…?」から読む
【第2回】「ソーシャルメディアとサクラの微妙な関係」から読む

【第3回】「「2ちゃんねる」は永遠に不滅?! 」から読む

「いいことづくめ」とはいかないソーシャルメディア

武田隆(たけだ・たかし)エイベック研究所 代表取締役。日本大学芸術学部にてメディア美学者 武邑光裕に師事。「日本の伝統芸術とマルチメディアの融合」を学ぶ。1996年、学生ベンチャーとして起業。企業のウェブサイト構築のコンサルテーションを足掛かりに事業を拡大し、多数の受賞を得るも、企業と顧客の距離が縮まらないインターネットサービスの限界に悩む。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の理論と手法を独自開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社にシステムを導入。当ドメインでは日本最大。コミュニティには60万人を超える消費者が集まる。1974年1月生まれ。海浜幕張出身。

 ソーシャルメディアは、利用者に恩恵を与えながら、日々拡張を続けています。しかしそこには、私たち利用者を苦しめる問題も隠れています。

 企業とソーシャルメディアの関係について議論を進める前に、これまでの連載で区分してきた4つのエリアに潜むそれぞれの落とし穴に焦点を当てていくことにしましょう。

 私たちが踏み込もうとしているソーシャルメディアのジャングルには、いくつかの危険が待ちかまえていることを確認することにしたいと思います。

「現実生活×関係構築」のエリアは
関係を広げるほど疲れる

 現実生活と関係構築が重なるソーシャルメディアには、フェイスブックミクシィなどのSNSの知人リストがあります。

 このエリアに属するソーシャルメディアには、個を起点につながる知人どうしの連絡網にお互いの距離を縮める親密圏が強く効きすぎてしまい、参加者が関係を広げれば広げるほど疲れが増幅してしまうという問題があります。

「現実生活×関係構築」のソーシャルメディアの代表例に挙げられるミクシィ。だが「ミクシィ疲れ」なる言葉も生まれたように、現実生活の延長線ともなりうる空間には窮屈さもともなう。

 かつて「ミクシィ疲れ」が生じたように、そのうち「フェイスブック疲れ」などといわれる現象も起きてしまうかもしれません。