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ソーシャルメディア進化論

【第4回】
ソーシャルメディアが浮き彫りにする個人の孤独

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第4回】 2011年8月9日
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「現実生活×情報交換」のエリアには
当たりさわりのない会話に終始するリスクが潜む

 次に、現実生活と情報交換が重なるソーシャルメディアには、フェイスブックの「公開グループ」やミクシィの「コミュ」のようなサービスがありますが、表象のコミュニケーションによる窮屈さに加え、交友関係そのものに利便性や有効性を求めることのミスマッチが問題となります。

 自治体や地元のNPOなどが運営する地域SNSと呼ばれるジャンルが行き詰まり、全滅の様相を呈しているのはこのミスマッチによるものだと整理できます。

「情報交換」が求める合理的な目的に対して、「現実生活」の安心感と窮屈さは邪魔になる。その結果、このエリアに属するソーシャルメディアでは当たりさわりのない会話が連なる傾向にある。

 「表象する」とは、記号的なものや上辺のイメージでその人を説明しようとする行為を指します。男性であるとか、商社に務めているとか、世田谷に住んでいるとか、40代で2児の父親であるといった地位や属性は、本当の私が唯一の存在として「誰」なのかを伝えるには不十分なのかもしれません。表象のコミュニケーションでは、どこか予定調和な当たりさわりのない対話になる傾向が生じます。

 フェイスブックはこれからが見どころです。実名性を強化し、あらゆる属性を開示することを求めるフェイスブック。しかし、本当に人々はすべてを開示することを望むでしょうか。

 フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグは、「透明性の高い人間関係」を提唱しています。もっとみんなが自分を開示するようになれば、世界はもっとつながることができるのだといいます。

 果たして、この透明性は人々をより深くつなげていく原動力になりうるでしょうか。それとも、やはり人々は「あなただけに打ち明ける秘密」に気持ちを動かされるものなのでしょうか。これもまた、私たち人間の「心」に関わる問題です。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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