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ソーシャルメディア進化論

【第4回】
ソーシャルメディアが浮き彫りにする個人の孤独

武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]
【第4回】 2011年8月9日
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マイノリティ以前の孤独

 たとえば、ドメスティックバイオレンスやセクシャルハラスメントなどの問題は、当分の間、個人が私的なものとして耐え忍び、解決すべきことだとされてきました。私的なものとされたテーマについて、私たちは公的なみんなの空間へメッセージを投げることができません。「空気を読め」といわれるかもしれないし、公共の場に私的な話題を出してみんなを不愉快にさせたとして攻撃されるかもしれません。

 そして、私たちの社会には、まだまだ無数に私的なもの、あるいはタブーとされる問題がそれぞれの孤独の裏に隠されています。いうなれば「マイノリティ以前の孤独」です。

 消費における孤独も深刻です。最近、若者を中心に「消費離れ」が騒がれています。私たちは朝起きてから就寝するまでの間に、テレビ、新聞、街頭、電車のつり革、1日に100を超える商品やサービスの広告を見ています。広告のシャワーを浴びながら日々を生きているといっても過言ではありません。

 しかしそれらがほしいと思えない情報ばかりであるとするならば、どのようなことになるでしょうか。社会から受けとる情報のほとんどが自分と無関係であるということは、大げさにいえば、私たちは毎日、自分と社会との関係の希薄さを確認しながら生きていることになります。

 このような情報環境のなかでは「社会が遠くに感じる」といった疎外感を持つこと自体、自然な反応のようにも思えてきます。もし社会が自分と無関係なものであるならば、そもそも自分の欲することを伝えてみようとする発想すら失ってしまうかもしれません。

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武田 隆
[クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、エイベック研究所の代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

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