求めるお客様にリーチするために、
グルメサイトを使い分ける

 2015年、内山さんはこれまでとは違った業態にチャレンジすることを決めました。それが「吉次蟹蔵」です。

 株式会社MUGENではそれまで客単価4000~5000円の居酒屋業態をメインに店舗展開をしていました。しかし、「吉次蟹蔵」はキンキと毛ガニの鍋専門店というかなりニッチな業態で、しかも客単価は8000~1万円を想定していました。つまり、これまでとは異なる客層にアピールして、集客する必要があったのです。

 それゆえ、「吉次蟹蔵」ではオープンと同時に、ぐるなびや食べログの有料サービスとともに、新たにヒトサラを利用することにしました。

内山 「吉次蟹蔵は客単価を高めに設定していましたが、ヒトサラに情報を掲載すれば、ほしい客層が確実に取れるのではないか。そんな狙いがあったんです」

 お客様の数を集めるだけではなく、自分たちがほしいお客様を狙って取りにいく――こうした内山さんのグルメサイト選びの着眼点は、これからの飲食店とグルメサイトの関わり方のモデルケースとなり得るのではないかと私は思います。

 グルメサイトとは何かと考えたとき、そのもっとも本質的な役割は「お店とお客様を結びつけること」です。そして、この「結びつける」には、2つの側面があります。

 お店としてはもちろん、「1人でも多くのお客様にお店のことを知ってもらって、来店してほしい」という“数”を求める思いもあるでしょう。その一方で「こんなお客様に来てほしい」という“質”を求める思いもあるはずです。

 たくさんのお客様とつながりたいのか。それとも、人数は限られるかもしれませんが、特定層のお客様とつながりたいのか。

 もし後者の狙いがあるのであれば、従来のように規模の大きなグルメサイトに店舗情報を出すだけでは、十分な効果は期待できません。

 むしろ「その店にとってもっとも相性のいいお客様」「自分たちが本当にほしいと思うお客様」をユーザーとしてたくさん抱えているグルメサイトと付き合った方が、確実かつ効率的に理想的な集客につなげられます。

 今後、ヒトサラのような特定のユーザー層に支持される個性的なグルメサイトがもっと増えていけば、お店としても「自分たちがほしいお客様」を取りにいくためにグルメサイト選びが重要な鍵となるはずです。グルメサイトの特徴とそのユーザー層を正しく理解できれば、グルメサイト集客における「メディアミックス」が可能になります。ニッチな飲食店とニッチなグルメ媒体が存在感を増していくこれからの飲食業界では、特定の大手媒体に情報掲載して終わりではなく、費用対効果などを厳密に検証しながら、より戦略的にグルメサイトを使い分けていくという視点が重要になっていくに違いありません。

 実際、USENではヒトサラのほかに、訪日外国人向けのグルメサイト「SAVOR JAPAN」や、子どもと一緒に安心して食事ができる飲食店を紹介する「こどものヒトサラ」など、ユーザーのターゲットを絞ったグルメサイトを運営しています。こうしたグルメサイトのニッチ化、ターゲットの細分化の傾向は、これからますます広がっていくでしょう。

 その中でもヒトサラは、その掲載方針がブレない限りは、今後も独特の魅力を増していくに違いありません。食にこだわりのあるアッパーなユーザーに対して効果的にリーチしたい、そして自店の魅力をきちんと伝えたい。そう思う飲食店の経営者の方は、ぜひヒトサラを試してみてはいかがでしょう。