そうはいっても、まずは生存してゆかなければならない。

 成長のキャップがはめられている今、最適な生存戦略とは、生活コストを下げることと、社会にあふれる余剰を活用することだ。大事なのは利用であって所有ではない。衣食住の多くを人に依存するかシェアし、まずは金と時間を節約し、自由を産み出そう。 

 その上で、生きる意味を見いだす必要がある。

 ニートの悩みのほとんどは生きるための金ではない。生きる「意味」の喪失なのだ。物質的にゼロサムの世界でどうアイデンティティを保つのか、が本当の課題なのだ。

 ただし、それが一番難しい。その際、年配世代のように経済力や出世競争だけにアイデンティティを見いだす必要はない。

私欲を減じながら(足るを知りながら)、成長を求めるという矛盾を解く鍵は、好奇心にある。まずは好きを追求しよう。

 それでも、やりたいことがみつからないなら、やるべきことをやれ。

「やるべきこと」とは、「貢献につながること」だ。

 仕事とは、本質的に「才能を貢献に変換する作業」である。人が頑張れるのは誰かの役に立つからだ。

 自分や自分の才能がわからないなら、本当にわずかなことでよいので人の役に立つことをやれ。仕事でなくてもいい。お金が入らなくても良い。貢献は信用を生み、それはいずれ貨幣へと変わるだろう。

 今、世界はパラダイム転換のモラトリアム(狭間)の状態にある。私的には生活の期待値を下げ、公的には信用を積み新たな貢献の土壌を探る試行錯誤の時期なのである。

追伸1:自殺を試みる人の20人に19人が失敗する。だが二回目の試みは成功率が37%はねあがる。つまり未遂者への周囲の支援が鍵となる。

追伸2:自殺をする人は、死にたいから自殺するのではない。死ぬことでしか問題が“解決”しないと思うから自殺するのである。したがって、別の解決策を提示してくれる仲間が必要だ。

ここからも個人間の“紐帯”の重要性がわかる。


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