しかし民主化・自由教育の旗印の下、総中流社会を実現してきた日本では、明確に認識される形で階層は形成されなかった。実際には大きな格差が生まれているにも関わらず、未だ人々は心の内でそれを認めきれていない。経済の低迷・産業の衰退がそれに拍車をかける。小さな比較から大きな不幸が生まれる。
そうであれば、幸福を得る方法が一つある。
期待を下げることである。
変えるべきは日本の社会や、統治システムではない。日本人の心の方である。日本人の高くなりすぎた期待値を下げることなのである。
日本人は、本当に小さな世界において自らを比較し、自ら相対化の不幸のワナにはまっている。最低3ヵ月でも海外に出て行けばわかる。どんなに過保護な環境に我々が置かれているか、ということを。
若者は日本の既得権益者を非難する前に、日本人自体が世界の上位0.1%の既得権益者だと知っておいた方がいい。
伸びていかない経済の中、若者には二つの生き方がある。いや正確には二つを同時に遂行すべきだ。
一つはグローバルキャリアを目指す道だ。
物質的成長(GDP)の世界で勝負するなら、まだ経済成長の可能性のある海外にどんどんでてゆけばよい。
世代によって選ぶべきフィールドや国は違う。50代以上はやっぱり米国だったし、40代なら中国、30代なら東南アジア、20代ならさらに奥のインドや東アジアを軸に考えた方が、しかるべき年齢になった時に活躍できる。
その際、英語は必須。中国語は必須ではないかもしれない(エリートは大抵どこの国でも英語で話す)。
だがこれは、誰もが簡単に出来ることではない。
そこで、もう一つの方法が出てくる。
成熟した豊かさを目指すなら
好きなこと、貢献することを追求しよう
それは、成長しない国内においてGDP(経済成長)という指標を捨て、成熟した豊かさを目指すやり方だ。