京都市が「民泊締め付け」策連発、民業圧迫や住民トラブルで京都市が市内の分譲マンション管理組合に配布した管理規約の早期見直しを求める文書

「これまで管理規約を見直したマンションの内、『民泊禁止』の決定は聞いても、民泊OKとしたという組合は寡聞にして知らない」

 日本を代表する観光都市・京都市。今月開かれる定例市議会に、東京都、大阪府に続く「宿泊税」の導入に向けた条例案が提出される。可決されれば、来年度中にも導入される見通しだ。

 東京都と大阪府が宿泊料の安い施設を課税対象外としているのに対し、京都市のそれは“全施設”を対象とする見込みだ(修学旅行生は非課税)。年間の税収見込みは市内の宿泊施設全体で20億円に上る。

 背景は、来年6月に施行される民泊新法への対策で、宿泊税の真の狙いは、市内に増え続ける民泊施設にある。

 8月、京都市は市内に約1700ある分譲マンションの管理組合に「管理規約の見直しを!」と題した文書を送付した。京都市が管理規約の変更を求める文書の送付は初で、門川大作市長が掲げる集合住宅(マンション)での民泊原則禁止の実現を図るものだ。

 文面では「民泊を禁止しようとする場合は、(中略)管理規約を変更(改正)していただくことが最も確実です」と、個々のマンションで民泊禁止への具体的な行動を求める。

 京都市の関係者は、「自分が知る限り」と断った上で、冒頭のようにその効果を語る。「新法施行後に禁止に動いても、民泊営業者の同意が必要となりかねず手遅れになりかねない」(同じ関係者)。

ヤミ民泊利用者は110万人

 京都市がこうした民泊の締め付けに動くのには、もちろん理由がある。

 目下、市内に5000施設あると推計される民泊物件の内、約9割が無許可のヤミ民泊とされる。そして、高まるインバウンド(訪日外国人客)人気で過去最高を記録した京都市の昨年の宿泊客数1415万人(実数)のうち、修学旅行生客とほぼ並ぶ110万人がこのヤミ民泊を利用したと推計され、ホテルや旅館など既存の宿泊施設を圧迫している。

 その上で、ヤミ民泊の数と比例して、住民トラブルも増加している。

 京都市が開設した「民泊通報・相談窓口」に寄せられた「通報件数」は1年間で1400件超。その中身は、近隣のヤミ民泊の相談を始め、民泊利用者の騒音やゴミだし、タバコのポイ捨てといったマナーの問題、さらには「マンションのオートロックが意味をなさない」と言った保安上の不安を訴える声まで様々だ。

 政府が推進する民泊新法の施行まで一年を切った。観光客の増加はありがたいが民泊はお断り、という古都の憂鬱は続く。

(週刊ダイヤモンド編集部)