NBAの労使交渉決裂も
しょせん金持ち同士のケンカ!?
11月1日に予定されていた米プロバスケットボールリーグNBAの開幕が、2週間延期になった。収益の分配率をめぐるチームオーナー側と選手会の労使交渉が決裂。100試合が中止になったばかりか、交渉に進展がなければ、今季のNBAが行われなくなる可能性も出てきたのだ。
NBAは年間9億ドル(約700億円)の収益がある。昨年までの労使協定では、このうちの57%が選手の年俸に充てられ、チームの取り分は43%だった。だが、最近では経営難に苦しむチームが多く(30チーム中22チームが赤字経営だといわれる)、オーナー側は経営改善のため分配率の変更を盛り込んだ新労使協定を選手会側に提案した。
オーナー側が最初に出した分配案は選手=46%、チーム=54%というもの。選手会側とすれば取り分が77億円も減るのだから当然拒否し、53%までなら減らしてもいいと応じた。しかしオーナー側は「収益の半分以上を選手が取るのはおかしい」という姿勢を崩さず、選手=49%が限度とした。
選手会側も51%までならと譲歩したが、これ以上は双方譲らず、交渉は決裂。練習場などの施設を閉鎖するロックアウトが続いている。外野から見れば50%:50%にすれば丸く収まるように思えるのだが、わずか1%、7億円がどっちに行くかの差を埋められないでいる。ここまでくるとメンツの問題になっているのだろう。
労使協定改正では、もうひとつ対立の火種がある。これもお金の話。サラリーキャップ制の問題だ。
サラリーキャップとは選手の年俸高騰を防ぐため、チームの年俸総額の上限を決める制度である。もっとも現行の制度は、いくつかの特例を認める「ソフトサラリーキャップ」だ。新人や一定の在籍年数を経た選手に対しては上限を超えていいことになっているし、ラグジュアリー・タックス(贅沢税)と呼ばれる罰金を払えば、高年俸の選手を揃えることも可能。一応、上限は決まっているものの、資金力のあるチームは財力にまかせて自由に強化できるというわけだ。