腰痛で悩む人は多いが、再発しやすいし、なかなか治らないのが実情だ。どうして腰痛は簡単に治らないのか。その要因や最新の治療方法などについて、腰痛治療に詳しい新百合ヶ丘総合病院脊椎脊髄末梢神経外科・低侵襲脊髄手術センターの水野順一センター長に聞いてみた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
85%は原因不明
解明も進んでいない
日本全国の腰痛患者は推定2800万人。特に多いのは中高年で、40~60歳のおよそ4割が腰痛に悩んでいるという。恐らく、「ダイヤモンド・オンライン」読者の2人に1人ぐらいは、腰痛持ちなのではないだろうか。
腰痛は痛いし、情けないし、治りにくい。
例えば、不用意な姿勢で重たい荷物を持ち上げた瞬間や、ゴルフクラブを勢いよく振り回した途端に腰を貫く強烈な痛みは、肉体を瞬時に固まらせる。息を止め、弱々しく体制を立て直し、必死の想いで病院にたどり着き、そこで順調に回復できているとしたら、2800万人もの腰痛持ちは存在しないだろう。
製薬会社のファイザーが行った調査によると、慢性痛で病院を受診したことがある人の80%は、痛みが続いているにもかかわらず通院をやめている。この中に腰痛患者が占める割合はかなり大きいはずだ。現実問題、腰痛は病院で解決できていない。
大きな理由の一つは、「腰痛の85%は原因不明」(厚生労働省調べ)であることだろう。
腰痛治療で定評がある新百合ヶ丘総合病院(神奈川県川崎市)脊椎脊髄神経外科・低侵襲脊髄手術センター長の水野順一医師は次のように語る。