新著『1回3分! 1人で治せる どこでも腰痛体操』のなかで、著者の銅冶氏は「腰痛には3つのタイプがある」と解説しています。この腰痛タイプを見極めることこそが、腰痛を根本的に治療する第一歩となるのです。連載第2回では、あなたの腰痛タイプを正しく見つけ出すための手軽な方法をご紹介していきます!
体操を始める前に
第1回では「どこでも腰痛体操」の概略を説明しました。今回からは、具体的な治療法をご紹介します。
お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長。医師、医学博士、米国公認足装具士、日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本リウマチ学会専門医。1994年に日本医科大学卒業後、千葉大学大学院にて2004年国際腰椎学会日本支部賞、2005年国際腰椎学会・学会賞を受賞。2008年王立パース病院ベットブルック脊椎ユニットに留学を経て、2010年にお茶の水整形外科クリニックを開院。訳書に『自分で治せる! 腰痛改善マニュアル』など。最近ではダチョウ倶楽部の肥後克広氏を被験者とし銅冶氏が監修を務めた『あきらめない腰痛』が好評を博している。
腰痛のタイプは前回ご紹介したように、体を後ろに反らす運動によって改善する「後屈改善タイプ」、体を前に倒す運動によって改善する「前屈改善タイプ」、腰を右か左に動かすことで改善する「側方改善タイプ」の3つに大別できます。まず基本の運動を行うことでタイプを見きわめてから、最適な腰痛体操を行っていくことになります。
しかしその前に、まずあなたの腰痛が体操に適しているかどうかをチェックする必要があります。骨折や感染あるいは腫瘍(しゅよう)などが原因の腰痛であれば、まずそちらの治療を行なう必要があります。それを考えずに体操を行えば、マヒなどの重大な病状に発展しかねません。正式な診断は整形外科を受診する必要がありますが、まずは以下に挙げる項目で簡易的にチェックしてみてください。
1. 足に力が入らず動かせない → 足にいく神経がマヒしている危険性
2. おしっこが出せない → 膀胱(ぼうこう)にいく神経がマヒしている危険性
3. 転んだり落ちたりしてから腰が痛い → 怪我で骨折している危険性
4. 最近、急に体重が落ちた → 癌(がん)の転移の危険性
5. 腰痛に加えて熱が続いている → 背骨の感染の危険性
これらに当てはまる方は、重大な病気から来る腰痛の可能性がありますので、体操を行う前に必ず医療機関を受診してください。
上記5項目が大丈夫であれば、続いて次の5項目をチェックしてください。
1. 足の力が弱い、感覚が鈍い → 足にいく神経のマヒの可能性
2. おしっこが出しにくい、陰部にしびれがある → 膀胱にいく神経のマヒの可能性
3. 足や腰に強い痛みがある → 重大な病気が隠れている可能性
4. 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と言われたことがある → 骨折の可能性
5. 進行癌になったことがある → 癌の転移の可能性
これらに当てはまる方は、重大な病気が隠れていたり重症の神経マヒになる危険性もありますので、十分に注意しながら体操を行ってください。