叱れない30代の親たち
子どもは信念を持って叱ること
大塚:『30代を後悔しない50のリスト』では、少し変わった後悔として「子どもを叱れなかった」という後悔を紹介しています。私の親世代は昭和一桁世代で、ちょうど川北さんと一緒ぐらいですから、叱られる家庭で育ちました。だから、私の家庭では子どもを叱る教育をしているのですが、今の30代、40代になると、親世代が団塊の世代であり、あまり叱られて育っていないという人が多いのです。そこで、団塊ジュニア世代であるいまの30代の中では、叱れない、叱り方がわからないという人も多いようです。
川北:大塚さんの本にも書いてあったけど、「叱る」のと「怒る」のは違うということを理解することですね。怒るのは単に自分の怒り爆発させるだけだけど、叱るは、相手を信頼して良くなってほしいと思いやることだから、ダメなところはダメだって、やっぱりきちんと叱らなきゃダメですよ。
ただ、最近の若い人に多いのは、理屈で叱るということ。これはよくない。子どもが理屈で返してきたときに理屈で説明しようとすると、ちゃんと相手を叱れないですよ。叱るというのは理屈じゃないんです。礼儀作法というのは理屈じゃないでしょう。ふすまを開けるときに、和服を着てる女性はちゃんと膝ついて両手で開けます。これをなんで両手で開けなきゃいけないのかというのは理屈じゃないんですよ。それを子どもにも理解してもらえるように理屈で説明しようなんて思うからいけないんであって、「命令」で返さなきゃ。ダメなものはダメだと、親は子どもに強く言えるようにならなければ、子どもからも軽く見られますよ。
大塚:なるほど。いまの親は子どもに嫌われたくないという感情が先にあるみたいですね。相手を信頼すればこそ、自分に自信を持って叱ることが大切ですね。
川北:そうなんですよ。親が信念を持って怒らなきゃダメなんです。自分に信念があるかどうかがすごく重要です。俺はこういう生き方をするんだから、人が何と言おうと曲げないという。子どもの叱り方というのは、親の生き方にも関係してくるんですよ。
大塚:ということは、いまの30代というのは信念が弱いっていうことでしょうか?
川北:そうです。自分の生き方に自信がない人が多いのだと思います。30代って、子どもが小さい時期だから確かに難しいときですよね。でも、怒るときは母親も父親も一緒に叱らなきゃダメですよ。父親が叱っているのに、母親が「まあまあいいじゃない」とか「そんなこと言ってるけどお父さんだって悪いよ」みたいなのは絶対に間違いです。叱るときは一緒に叱らなければダメですよ。そうじゃないと子どもにちゃんと伝わりません。
大塚:私の家は、私も家内も叱るタイプなので、一緒に叱っちゃうとまずいと思って、どちらか一方が叱ったら、もう一方はフォローに回るようにしてきましたが(笑)。
川北:フォローという意味では、あとから「パパとママ、あんなに強いこと言ってごめんね」とか「だけど、本当にあれはあなたが悪いいんだよ」というのを、きちんと言うというのがフォローです。母親の愛と父親の愛とは違いますから、そういうときは母親のフォローのほうがいいはずです。いずれにしろ、父親が叱っているのに、母親がそれを横から否定するのは良くないと思いますよ。自信と愛情を持って、叱るときはきちんと叱るというのを徹底するべきです。子どもを叱るというのは、そのくらい大切なことなのです。(後編に続く)
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【特別対談の日程】
●第1回:「藤原和博×大塚寿」(前編)
●第2回:「藤原和博×大塚寿」(後編)
●第3回:「川北義則×大塚寿」(前編)
●第4回:「川北義則×大塚寿」(後編)(11/4)
●第5回:「桑野克己×大塚寿」(前編)(11/7)
●第6回:「桑野克己×大塚寿」(後編)(11/8)
●第7回:「渡辺佳恵×大塚寿」(前編)(11/10)
●第8回:「渡辺佳恵×大塚寿」(後編)(11/11)