その2 消費税は広く薄く平等に徴税できる

 日本の年金は、全体ではほとんどの資産を持っている老人層に、資産をあまり持っていない現役の労働者が貢ぐような構造になっています。これは貧乏な人から金持ちへの所得移転です。

 しかしすでに約束された年金を減額するのは、政治的にも法律的にも大変困難です。そこで消費税なら、所得のない年金受給者からもまんべんなく税金を徴収できるので、この貧する若者から富む老人への所得移転を緩和する効果があります。

 じつは、今後労働者として長年所得を稼がなければいけない若者ほど、所得税ではなく消費税で税金を取られた方が有利だといえます。また、このまま財政赤字が続いていけば、いつかは国家財政は破綻してしまいます。そうすれば老人の年金もなくなってしまうので、年金受給者の立場であっても、消費税は上げるべきなのです。

 また、最近は所得税や法人税の安い海外にビジネスの拠点を持ち、日本に頻繁に出張してくる日本人や外国人が増えています。そういう所得税を日本に直接は収めない人からも、消費税なら税金を取れます。このように広く薄く、そして平等に徴税できるのが消費税のいいところです。

 日本の書籍ネット販売で成功しているアメリカのアマゾンが、日本に法人税を納めていないことがわかって、問題になったことがありました。このように多国籍企業がインターネットを介して世界中でビジネスをする時代には、法人税率が安い国に利益を集中させる傾向がありますから、日本のような法人税率が高く、消費税率が低い国は、どんどん不利になっています。