インターネット業界で
キャリアを積む
大塚:インターネット業界に入って、こういうキャリアを積んでいこうというイメージはありましたか?
桑野:実は当時はなんとなく、だったんです。そこまで深く考えていなくて、そもそも業界のこともよく知らなかったんですね。だから、海外留学したビジネススクールのサマーインターンは、たまたまアップルでやったんですよ。「アップルっておもしろいかな」くらいに思って。
その後、たまたま入社したのがシリコングラフィックスっていう会社でした。入ってみたら、すごくテクノロジーの会社だったのでびっくりしてしまいました。この会社に入ったのも、ビジネススクールにプレゼンテーションに来ていたときの、そのプレゼンが立体的な三次元のものだったというのがきっかけなんです。それを見て格好いいと思い、この会社に行こうかなと思ったんですよ。
大塚:学んだスキルを何かに役立てるとか、この世界は伸びるなという予感を持たれていたんですか?
桑野:いや、本当にすごく格好よかった、というだけだったんです。結局そこには2年間勤めて、その後、リアルネットワークスという会社に転職しました。シリコングラフィックスのときも、コスモソフトウエアという、シリコングラフィックスのなかのインターネット三次元の分野のカントリーマネジャーをやらせていただいていたので、転職はしやすかったんです。
1998年にコスモソフトウエアが、部門ごとほかの会社に買収されてしまい、自分の身の振り方をどうしようかなと思ったとき、シリコングラフィックスの副社長は、「そのまま残ってもいいよ」とおっしゃってくれたんですけれど、もっとインターネットのことをやりたいなと思ったんです。それで、リアルネットワークスに入ったんです。
リアルネットワークスという会社は、BtoCにおいて、当時にすれば斬新なことをやっていました。音楽をインターネットで聴けるとか、映像をインターネットで見られるというテクノロジーを持っていた会社で、「リアルプレイヤー」というのがあったんですけど、それをやっていた会社だったんです。
大塚:インターネットで音楽を聴くというのは、当時はすごいことでしたよね。革新的な印象を持たれて、転職されたのでしょうか?
桑野:そうですね。この世界をもっとやってみたいという思いはありました。当時のコンペティターはウィンドウズメディアプレイヤーでしたが、そのころはリアルが勝っていたんですよ。まずコンテンツを増やさなきゃいけないということで、テレビ会社や音楽会社にリアルネットワークスを使ってくださいという営業をしていました。SONYのVAIOとか富士通とか、そういうパソコンにリアルプレイヤーを入れてもらったりしていました。