土佐和紙壁紙「トサライト」

 壁紙としては、光触媒加工を施した土佐和紙壁紙「トサライト」があります。
 
 もともと和紙の壁紙は、ビニールクロスにはない調湿性や調光性、吸音性など機能面ですぐれた特性がありますが、その和紙に光触媒加工を施すことで、空気中の細菌や有害物質の分解・除去、タバコ臭やペット臭などを除去する機能が加わり、高付加価値の壁紙となっています。

 日本の和紙作りの伝統技術と、光触媒の科学技術が融合したユニークな製品ですので、これからは一般住宅のみならず、国内外のホテル、宿泊施設などへの導入も増えていくのではないでしょうか。

 窓辺に関連した光触媒製品としては、ブラインドも早い段階から製品開発が進められてきました。

 ブラインドの羽根の表面を光触媒コーティングしておくことで、油汚れなどの有機系の汚れを分解・除去することができます。

MOLZAの取り組み

 また、抗菌、消臭効果、カビの発生を抑制する効果も併せ持ちます。 
 岐阜県にあるMOLZA株式会社という和紙メーカーが酸化チタンをつけた和紙を使ってブラインドを市販しており、好評とのことです。最近では、可視光応答型の光触媒を使用して、室内の光で防汚、抗菌、消臭効果の得られるブラインドも製品化されています。

 光触媒を発見して今年で50周年。いまや東海道・山陽新幹線の光触媒式空気清浄機、成田国際空港の光触媒テント、パナホームの一戸建てからクフ王の大ピラミッド、ルーブル美術館、国際宇宙ステーションまで、その活躍の場は多岐に及んでいます。

藤嶋 昭(Akira Fujishima)
東京理科大学学長
1942年生まれ。1966年、横浜国立大学工学部卒。1971年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1971年、神奈川大学工学部専任講師。1975年、東京大学工学部講師。1976~77年、テキサス大学オースチン校博士研究員。
1978年、東京大学工学部助教授。1986年、東京大学工学部教授。2003年、財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。2003年、東京大学名誉教授。2005年、東京大学特別栄誉教授。2010年、東京理科大学学長(現任)。現在、東京理科大学光触媒国際研究センター長、東京応化科学技術振興財団理事長、光機能材料研究会会長、吉林大学名誉教授、上海交通大学名誉教授、中国科学院大学名誉教授、北京大学客員教授、ヨーロッパアカデミー会員、中国工程院外国院士。これまで電気化学会会長、日本化学会会長、日本学術会議会員・化学委員会委員長などを歴任。
【おもな受賞歴】文化勲章(2017年)、トムソン・ロイター引用栄誉賞(2012年)、The Luigi Galvani Medal(2011年)、文化功労者(2010年)、神奈川文化賞(2006年)、恩賜発明賞(2006年)、日本国際賞(2004年)、日本学士院賞(2004年)産学官連携功労者表彰・内閣総理大臣賞(2004年)、紫綬褒章(2003年)、第1回The Gerischer Award(2003年)、日本化学賞可(2000年)、井上春成賞(1998年)、朝日賞(1983年)など。オリジナル論文(英文のみ)896編、著書(分担執筆、英文含む)約50編、総説・解説494編、特許310編。