何事もやりきる「ツイスター型」チームになるには
マネジャー:「横山さん、そんなにアレが必要ないかね? アレはアレで、役立つときだってあるんだよ」
横 山:「そうですか......。私はあんなモノ、役立つときなどないと思いますが」
マネジャー:「先代の社長が好きでね。もう25年はやってるんじゃないかなぁ」
横 山:「25年も? 嫌がる人はいませんか」
マネジャー:「慣れだよ、慣れ。毎日触れていれば、意外といいものだと思えてくる」
横 山:「慣れ、ですか......」
オエーーーッ! って感じですね。もう勘弁していただきたいです。
毎日営業日報に触れていたら、組織全体が腐ってきます。
しかし、どんなに臭いものでも慣れてくると馴化してくるので不思議ですよね。気をつけましょう。これを「刺激馴化(しげきじゅんか)」と呼ぶのです。
第4回目のコラムで詳しくお伝えしますが、私がクライアントに営業コンサルティングに入ると、爆発的な「行動量」をこなし、圧倒的な行動スピードで営業が活動するようになります。
そして、中途半端な「そよかぜ型」チームが、全員がやりきる「ツイスター型」チームに生まれ変わっていくのです。
「ツイスター型」に組織が化けると、自然と営業日報は吹き飛ばされていきます。
数年前、オフィスの什器を取り扱う商社にコンサルティングに入ったときのことです。
この会社の営業は1か月で20件程度しかお客様のところへ訪問していませんでした。しかし、私が現場に入って6か月後には10倍の200件、お客様へ回るようになったのです。
こちらの営業部長とも、冒頭のような「営業日報」に関する小競り合いがありました。
小競り合いのあった商社営業部長の意外な反応
しかし、半年後にはその営業部長と、このような会話をしていたのです。
営業部長:「なくす、まかせる、短くする、を合言葉に無駄の削減をして行動量を増やしてきましたが、もう手詰まりです」
横 山:「まだ訪問件数を増やせる余地はありますよ」
営業部長:「まだ、行けますか?」
横 山:「行けますよ! みなさん、この半年間、本当に変わりました。もうひと押しです」
営業部長:「それじゃあ......。営業日報はどうでしょう?」
横 山:「日報ですか」
営業部長:「はい。すべての営業が、日報を書くのに1時間ぐらいかかっているのです。もうこの際だから、やめてしまおうかと思って」
横 山:「本当にやめてしまうんですか?」
営業部長:「ええ。この半年で部下からの報・連・相は劇的に増えていますから、日報は必要ないと判断しました」
横 山:「わかりました。では一度3か月間だけやめてみましょう。3か月経っても必要性を感じなかったら、金輪際やめてしまいましょう」
会議も営業日報と同じです。営業会議が100%必要ない、とは言いませんが、「ツイスター型」チームには、無駄な会議が自然となくなっていきます。
この商社でも同じでした。
「○○さんがいい案件を取ってきたから、みんなに話してほしい」とか、「経営会議で取り上げられた内容をお伝えする」と、営業部長の気分次第で部下を会議にかり出してばかりいたのです。
この高度情報化時代にわざわざ全員で集まり、口頭で報告や情報共有する必要はありません。メールや掲示板で十分です。
前述の「ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線」からもわかるとおり、口頭で情報共有したとしても、みんな覚えていないのです。
「○○くんがせっかく話してくれたのに、なんで同じ失敗をするんだ」、と営業部長は嘆いてばかりいましたが、それは単純に忘れているからです。
会議を利用して中途半端に情報共有すると、営業部長ご自身が「やった」と思い込んでしまうのだから始末に悪いのです。
「俺は役割を果たした」と錯覚することが問題です。