「英語ができる親」ほど、子どもの英語力をつぶす?
J PREPの保護者には、大きく2パターンの方がいらっしゃいます。
一つは「私たち両親は、英語がからっきしダメでして……」と言って、塾に全面的に任せてくださる方。こういうお家のお子さんは、ある程度の指導を続けているだけで、自然と英語力が高まっていきます。
もう一方は、「自分は英語がそれなりにできる」と思っているお母さん・お父さんです。受験科目としての「英語」に、一定の成功体験がある方と言ってもいいかもしれません。
どちらかというと子どもに対する教育意識も高く、僕たちがどんな授業をやっているのか、どんな経歴の先生が教えているのか、本当に成績が伸びるのかといったことに厳しい目を向けています。あくまでも傾向としてですが、ご自身も有名な大学を出ていたり、大きな企業に勤めていたりするケースが多いように思います。
意外かもしれませんが、そんな方たちのお子さんは、なかなか英語力が伸びないことがあるのです。
かつて学校で「英語」が得意だったであろう親御さんたちからは、たとえば「もっと学校の教科書に沿った指導をしてほしい!」「うちの子は関係代名詞でつまずいているので、文法を重点的に教えてくださいよ!」といったリクエストを受けることがあります。
僕の塾では学校教科書と連動した授業をやっていませんし、生徒の年齢や発達段階によっては、文法学習にあまり時間を割かないこともあります。
その結果、保護者のなかにはこんな心配をする方がいらっしゃるようです。
「(あれ? 私が昔、学校で習った『英語』の授業とまったく違う!
日本語に訳させてみても、ちゃんとわかってないみたいだし……。
まずは5文型からやり直すべきじゃないかしら……。
えーっと、たしかSが『主語』、Vは『動詞』で……)」
そこで、英語の「お勉強」をきっちり教えてくれる別の学習塾にもこっそり通わせはじめる人もいますし、J PREPをやめてしまう人もいます。「昔取った杵柄」とばかりに、自ら家庭で文法指導をはじめたお母さんもいらっしゃいました。
こうして2つの英語学習法のあいだで板挟みとなった子は、じつはなかなかスムーズに英語力を伸ばせません。何よりかわいそうなのは、そうこうするうちに子どもが「英語嫌い」になってしまうことです。
以上が「英語が得意な親がいると、子どもの英語力が伸びづらい」の種明かしです。
すべては「間違った学び方」を捨てるところから
ここで僕が強調したかったのは、お母さん・お父さんの世代が抱く「英語学習」のイメージは、かなり時代遅れである可能性が高いということです。
なまじ「英語」科目に成功体験がある保護者ほど、年齢や時代の違いを無視したまま、つい間違った勉強法をわが子に強いてしまいがちです。
しかし、その親御さんが仕事や日常生活で英語を使いこなせるレベルにあるかというと、まずそんなことはありません。学校の成績や入試の得点は「そこそこよかった」かもしれませんが、結局のところ、「使える水準」までは到達していないのです。
それは「努力」が足りなかったからではありません。「方法」が間違っていたのです。だとすれば、間違った方法を子どもになぞらせるのはやめるべきです。
愛するわが子のためによかれと思ってやったことが、かえって子どもの才能をつぶすことになる――こんな悲劇はありませんよね。
逆に、「英語」科目が苦手だったり嫌いだったりした親は、そのイメージそのものを忘れていますから、子どもにそれを押しつけることがありません。ぜひ自信をもってはじめていただければと思います。