創刊4年という短い期間で上海のOL達を虜にした中国版ホットペッパー「胡椒蓓蓓」。「よくあるリクルート的な猛烈営業スタイルが成せたことでしょう」――。リクルートを少しでも知る人はそう思ってしまうかもしれない。しかし、勝因は的確に市場特性を捉えたことと、現地従業員を上手に管理する硬軟織り交ぜたマネジメント手法だった。リクルート現地法人である上海瑞可利都楽広告有限公司の染川昇・運営総監にお話を伺った。

発行部数月50万部達成
上海内の2万社に配布

染川昇・上海瑞可利都楽広告有限公司運営総監(Executive Director)

――上海では、いつから胡椒蓓蓓(フージャオベイベイ:ホットペッパー)事業をやられているのでしょうか?

 2007年9月創刊です。現在、胡椒蓓蓓の雑誌の発行部数は約50万部/月。主に上海のオフィス(2万社)で働くOLに配布しています。胡椒蓓蓓には、雑誌およびウェブサイトに飲食店や美髪店、美容店、スクール系のクーポンと、大手メーカー様のキャンペーン情報が掲載されています。現在は雑誌だけでなく、WEBや携帯、電子雑誌、微博(ウェイボー:中国版ツイッター)などにも胡椒蓓蓓ブランドを広げています。

――実際、どの媒体のクーポン利用が多いですか?

 2007年の創刊当時は、ほとんどが雑誌の切り抜き式クーポン利用でしたが、現在は自分の携帯にクーポンをダウンロードして使う「携帯クーポン」の利用率がどんどん上がっています。携帯クーポンの利用者は、胡椒蓓蓓のウェブサイトから、自分が興味のあるクーポンをクリックし、自分の携帯番号を入れるだけで、携帯にSMSクーポンを送信できるのでとても便利です。

――胡椒蓓蓓(雑誌)の読者(主にOL)は、どのように増やしているのですか?

 まず前提として、我々は胡椒蓓蓓を「本当に欲しい人」だけに届けたいと考えていますので、事前に登録した人だけに送っています。

 毎月発行している胡椒蓓蓓の雑誌の最終ページに「配達申込書」があり、そこに会社名、会社住所・購読希望者人数・全員の名前、携帯番号、メールアドレスを記入してもらい申し込み完了となります。更に会社の代表者として、各オフィスごとに窓口担当者を1人選んでもらい、その人宛に胡椒蓓蓓を配達し、その代表者から会社内に配布してもらうという仕組みです。

 我々は、比較的購買力のあるOL層にリーチしたいと考えているため、4年間の経験に基づき、上海市内のオフィスビルを「Aビル」「Bビル」「Cビル」と分けています。Aビルは我々のターゲットとしている購買力のあるOL層が多く出入りするビルで、Cビルはその反対でターゲットとするOL層がそれほど居ないビルです。

 そして、例えば、「Cビル」に入居している会社から配達契約の申し込みがあった場合には、やんわりとお断りし、胡椒蓓蓓のウェブサイトでダウンロードができる「電子雑誌」の利用を勧めたり、コンビニで取得する方法をおすすめします。上海のOLと一言に言っても、日本のように全員が20万円以上もらっている訳ではありませんから、ターゲットオフィスを明確に絞る事で、最大限のアクション創出を狙っています。