新聞やテレビで見かける経済ニュース、ネットで飛び交う経済政策の議論、経済学の授業で学んだはずのあの理論……。私たちの身のまわりを飛び交う「経済」にまつわるお話に、ふとこんな疑問を感じたことはないでしょうか?
「どうして、経済学や経済のオハナシは難しく見えるの?」
「エコノミストの人が何を言っているのかよくわからないんだけど、自分だけ?」
需要と供給から、金利、インフレ、GDP、為替レート、金融バブル、行動経済学まで、いざその意味を考えると「何だっけ?」となるような言葉ばかり……。そんな疑問を解消すべく刊行された新刊『1分間で経済学』は、いま知っておくべき最重要単語を200網羅し、そのすべてを「見開き1ページ+図解」した、まさに最強の入門書。第1回は、同書より経済学を学ぶ者が必ず学ぶ言葉、「需要と供給」の解説をご紹介します。
需要と供給――Supply and demand
自由な市場では、財の価格は需要と供給で決まる。小麦の市場価格は農家による小麦の供給と、製粉工場や食品製造業者による小麦の需要の相互作用を通じて決まる。供給の水準が需要の水準と一致するとき、市場は均衡していると言う。
均衡では市場は静止する。そのときの価格で小麦を買いたい製粉工場はすべて、売りたいと思う農家を見つけられるし、小麦を売りたい農家はすべて、買いたいと思う製粉工場を見つけられる。
しかし、市場は均衡から外れることがよくある。急に干ばつが起きて小麦の供給が需要を下回り、小麦不足が生じたりする。自由な市場の力とは、そんな状態を解消する能力である。小麦を求める製粉工場は多すぎ、小麦は少なすぎだから、農家は価格を引き上げても販売数量が減る心配をしなくていい。価格が上がれば需要は絞られ、供給は促進され、市場が均衡に達するまでそれは続く。