仕事は決して楽なものではありません。一部の例外的な人は別として、大多数の人は、難しい仕事であればあるほど、尻込みしたり、あきらめの気持ちを抱いたりするものです。
私などはその代表格で、放っておけばラクな方や安易なやり方へと流れてしまう性分です。
小さい頃、「このままじゃ、おまえには一生“のめし”の人生が待っている!」と祖母からよく叱られたものです。“のめし”とは新潟県柏崎市地方の方言で、なまけものということ。
これは私だけでなく、おそらく、多くの人たちが多かれ少なかれ持っている、人間の本性に近いものなのではないかと思います。
そんな本性を持つ人間が寄り集まって仕事をするのが会社です。
会社は競合他社との熾烈な競争という宿命を背負っており、競争相手を上回る「顧客満足」をお客様に提供しなければ、たちまち傾いてしまいます。
だから、経営陣は働く人々に、競争に打ち勝つような「難度の高い仕事」を要求します。
しかし、その要求に、何の抵抗もなく、ごく自然に、肯定的な反応を示すのは一握りの鉄人であり、多くの人たちは躊躇するのが普通なのです。
でも、それでは会社が困る。なんとかして、普通の人が自主的にチャレンジングな課題に取り組むようにしなければ……。
そのための仕組み作りや働きかけの方法を必死になって考えて、試してみる、そういう役割が会社の中には必要になります。
これがマネジメントという仕事の本質であり、この仕事に従事するのが経営者、あるいは職場のリーダーと呼ばれる人たちです。
働く人、一人ひとりに力を最大限発揮してもらうにはどうしたらいいか。
これがMBO-Sの問題意識なのです。