「学びモレ」を短期間で埋めるには?
文法学習のもう一つのメリットは、学習の効率を高め、短期間で表現の幅を広げられることです。
外国語の基礎力をつくるためには、コンテンツの「かたまり」を「音」を通じて大量にインプットする必要があります。しかしこのやり方だと、コンテンツに含まれていない表現、使用頻度の少ない語彙が、どうしても抜け落ちてしまいます。
実際のコミュニケーションで登場する表現を漏れなく学ぶために、いちいち映像などのコンテンツを使っていたら、どれだけ時間があっても足りません。そうした「抜け漏れ」を埋めるのが文法書の役割です。ある程度の素地がある子であれば、もともとの暗示的知識を起点にしながら、加速度的に文法知識を吸収していくことができます。
また、この時期から英語をはじめる子には、ネイティブの子どもたちが10年かけて学ぶ知識を、ごく短期間で学習できるというアドバンテージがあります。
とはいえ、それが単なる「中学英語」の前倒し学習になっては意味がありません。小学校高学年くらいから学びはじめるにしても、やはり基本は「音+かたまり」。学習時間の半分は、フォニックス練習や映像コンテンツでのエクササイズにあてることを忘れないでください。
文法学習で自信を奪わないように
文法学習によるショートカットが可能になる反面、ぜひ注意していただきたいことがあります。日本語を使った文法・単語学習は、ややもすると「テストのお勉強」に近いものになりがちです。
これくらいの年齢になると、子ども自身にも「自分は何が得意で何が苦手なのか」がはっきりとわかってきます。わが子に自信を持たせる最高のチャンスであるはずの英語が、かえって子どもに苦手意識を植えつけ、自信を奪う要因になってしまう事態は、ぜひ避けていただきたいです。
中学受験についても、同じことを感じます。J PREPには、中学受験を終えた子どもたちが毎年たくさん入ってきますが、なかには学ぶ意欲そのものを使い果たしたかのような生徒がいます。
受験勉強のプロセスがその子から自信や活力を奪ってしまっているのでしょう。元気いっぱいのキッズクラスの子たちと数年しか年齢が違わないのに、なんだか疲れ切っている彼らの姿を見ていると、本当に胸が痛みます。