断られたら代わりを紹介してもらえばいい

 もちろん、何度も粘り強く説得・交渉しても断られてしまうことはあります。

 追いかけすぎては相手にしつこく思われるだけ。しかし、ここであきらめてしまうというのももったいない。そこで、お勧めしたいのが相手に次の商談先を紹介してもらう方法です。

 「今回の件に関するお気持ちは承知いたしました。私としては、この商品をぜひ多くの方にご利用いただきたいと思っているのですが、どなたか私の話を聞いてくださるような方はいらっしゃいませんでしょうか」

 と相手に聞いてみるのです。

 もし誠実な仕事をしていたならば、話を断ったことに相手は負い目を感じているはず。すると「そういえば、B社の○○部長が興味を持っていたよ」と思い出して、紹介してくれることがあります。

 すると、この仕事がなくなっても、次の営業先が見つかるのでダメージは少なくなります。しかも、紹介されたうえで商談に行くので、飛び込みで行くよりも最初から相手の信頼を得やすくなります。

 営業で大きな実績を上げている人は、そうした紹介営業で結果を生み出しているのです。 

長い目でのつきあいが、結局、大きな成果をつくる

 もちろん、そのためには、ふだんから相手に対して誠実な対応を心がけることが大切でしょう。

 利害だけで人とつき合う関係を道具的関係といいますが、ここから離れなければ本当の信頼関係は生まれません。

 道具的関係を抜け出し、できるだけ心と心がふれあう関係をつくっていくことです。

 これができれば、そのときは仕事を断られたとしても、他の仕事につながる情報を教えてもらえます。一つの商談を無理強いするよりも、一歩引いて十個の仕事のチャンスを手に入れることのほうが、長い目でみると成果は大きいでしょう。

 私たちは、どうしても目先の結果を追ってしまいがちです。

 しかし、もう少し長い目でみて相手とつき合うことで、自分の説得スキルの底上げもできます。あきらめないことと、がっつくことは違います。

 説得・交渉するときには、それを忘れたくないものです。

 


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