観点①ポートフォリオで考える:
投資先を分散させて成功率を上げろ

 第一のポイントは、一発必中ではなくポートフォリオで考えること。ポートフォリオとは、簡単にいうと、投資資産を組み合わせたり、投資先を分散させたりすることです。投資先を1つにしぼるのではなく、組み合わせることで特定領域を深掘りし、複数に分けることでリスクヘッジを行うのです。

 ベンチャービジネスは、固有の技術やアイデアをベースに、既存市場をdisrupt(破壊)、もしくはまったく新しい市場を創出することにその醍醐味があります。しかし、そこには当然挑戦者として乗り越えるべきハードルも多く、立ちふさがる壁を前に知恵を出し尽くし、時には事業をピボット(転換)してでも、成功への道筋を模索しなければなりません。とは言え、そのように試行錯誤して、全力を出し切っても、残念ながらすべてのベンチャービジネスが成功できるわけではありません。とある調査によるとベンチャー企業の生存率は5年で15%とも10%とも言われており、ここからも非常に厳しい競争環境であることがおわかりいただけると思います。

 通常のベンチャー企業は、自社が営む単一事業を成功させることに必死で、同時にいくつもの事業を並行して行うことは困難です。しかし、潤沢な資金力を持つ大企業であれば、ベンチャー投資のポートフォリオを組むことが可能です。それも、ひとつの事業に投資し、成否を見極めてから次の投資を行うのではなく、同じ時期に例えば10社(事業)への投資を並行して行うことで、特定のテーマをよりスピーディーに深掘りし、事業の成功確率を高めることができるのです。

観点②投資ステージごとに投資金額を見極める:
リスクとリターンのバランスをとれ

 第二に、いくつかの段階的な投資ステージにおける必要投資金額と、持分比率による投資リターンの考え方を整理する必要があります。事業が好調であるベンチャー企業は、ラウンドを重ねる毎に企業価値の評価額(バリュエーション、上場企業でいう時価総額)が上がっていくのが一般的です。バリュエーションについては、最後に詳しく説明しますが、起ち上げ段階からエンジェルラウンド、シードラウンド、シリーズAラウンド、その後シリーズB、C、Dラウンドなどの段階ごとにバリュエーションとともに調達金額も大きくなっていきます。

 企業によって定義の違いはあるものの、日本では、シードラウンドでは数億円のバリュエーションに対して数千万円の調達、シリーズAラウンドでは数億円から数十億円の評価額に対して数億円の調達、シリーズB以降では数十億円から数百億円の評価額に対して数十億円の調達を行うというのが、一般的な規模だと言えるでしょう。