ロボットとは共存するしかない

中嶋:日本人は、テクノロジーに対するアレルギーがありませんから、それがロボット先進国になった理由の一つだと思います。言われ尽くされたことですが、日本人はロボットに対する印象がとてもいいのです。鉄腕アトムやドラえもんのおかげかもしれませんが、「ロボットは友達」という意識があります。私自身、ロボットをつくっていると、愛着が湧いてしまいます。ロボットはフルデジタルな機械ではあるのですが、人間っぽさが残るマシンに思えるのです。

一方欧米では、人を超える存在を作ること自体、受け入れるのが難しいと言われています。

長谷川:そうはいっても、もう共存するしかないですよね(笑)。産業革命のときも、仕事がなくなることを恐れた労働者が機械を壊す運動を起こしましたが、着地点は決まっていました。車が出た時もそうだったのではないでしょうか。馬車の仕事がなくなるとか、人を轢いたら危ないなどと言われた時期があったはずです。

中嶋:そうですね。今、ロボットも同じように「ロボットに仕事が奪われる」という文脈の記事を目にします。しかし、実際に作っている側から言えば、まだそのような未来は見えません。ですから、ロボットを敵視する必要などないのです。
それどころか、産業用ロボットのように、ロボットは私たちに変わって危険な仕事や重労働を引き受けてくれます。人口が減り続ける日本においては、そのようなロボットの助けなしには、経済は回りません。「ロボットを活用する」ものであり、「ロボットに仕事を奪われる」という話は、ちょっと方向が違っていると思います。

ロボットをどんどん活用したい

長谷川 敦弥(はせがわ・あつみ)
1985年生まれ。2008年名古屋大学理学部数理学科卒業。2009年8月に株式会社LITALICO(リタリコ)代表取締役社長に就任。「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げ、障害のある方に向けた就労支援サービスを全国66ヵ所、発達障害のある子どもを中心とした教育サービスを全国98教室、小中学生にプログラミングを教える「IT×ものづくり」教室(9拠点)などを展開。2017年3月、東証一部に上場。企業理念は「世界を変え、社員を幸せに」。

長谷川「ロボットがそこまでやっちゃっていいの?」という意見に対して、僕は「全部やっちゃっていい」と考えています。
それで時間や体力、知力が温存されれば、クリエイティブな部分に人間の能力を使えるからです。

ですから、例えば「絵本の読み聞かせは人間がやるべき」という考え方それ自体がハードルじゃないかなと思います。たぶん100年後にはマイノリティーになっている。

だって、今、洗濯を自分で洗濯板でごしごしやる人はまれですよね。昔はきっと「嫁の務め」とか言われて、時間をかけてやっていたとは思いますが。置き換えられるものは、全部置き換わっていい。便利になるならいいと思います。その中で、人間が人間らしく生きていくためのものだけが残るのだと思います。

中嶋:進化は止められませんからね。

長谷川:本能が喜ぶ方向に向かっていくのではないでしょうか。人間じゃなくてもできるのであれば、やってもらったほうがいい。人間じゃなくても考えられるのであれば、考えてもらったほうがいい。そうしたら、僕らは人間にしかできないことに、能力を発揮できます。DNAに組み込まれている「進化し続けたい」という本能からは逃れられないはずです。

中嶋:ロボットはきっと、その進化の文脈の中にあるものだと思います。