人間の尊厳を守るためにロボットを活用する

長谷川:僕は人間の尊厳を守るためにも、介護や医療の現場でロボットをどんどん活用してほしいと考えているのです。

中嶋:尊厳を守るためとは、具体的にはどのようなことですか?

長谷川:例えば、ご高齢の方や身体障害のある方のオムツを変えるなどです。これは自動化されたほうがいい。例えば男性の介護士が、女性の方のオムツを替えるということが実際に行われています。これを恥ずかしく感じる人はたくさんいます。

私の知り合いにとても素敵な女性がいます。脳性麻痺なのでトイレの介助が必要なのですが、フランスでもロシアでも、電動車椅子で1人旅をしているのです。僕が「トイレどうしているの?」と聞くと、「道で会う人にお願いしている」と。見知らぬ人にトイレに一緒に入ってもらい、介助してもらうそうです。

でも、そんなことができる人は、ほとんどいませんよね。トイレの介助が嫌だから、引きこもる人の方が圧倒的に多いのです。それが連鎖して、がんばろうというエネルギーがなくなってしまう人もいます。ですから、トイレの介助はロボットにしてもらった方がいい。今の光景は人間らしい光景とは思えないからです。

中嶋:介護や医療、福祉の分野では、それこそロボットにできることはたくさんありそうですね。

長谷川:テクノロジーが解決できることは多いはずです。テクノロジーを人間の尊厳を守ることに使うこともできるのです。

(続く)