「海外人材の受け入れ」に焦点

 新しい日本語テストが公表されたのは3月7日。「国際・アジア健康構想協議会」と「国際・アジア健康構想連絡会」の第2回共同開催の会場だった。前者は民間事業者の集まりで座長は中村秀一・医療介護福祉政策研究フォーラム理事長、後者は政府与党関係者などがメンバーで議長は和泉洋人・内閣官房健康医療戦略室長。

 両団体は、厚労大臣をはじめ日本医師会や日本看護協会、全国老人福祉施設協議会など日本の医療や介護の主要団体のトップが居並ぶ。オールキャスト体制である。当日は和泉議長と中村座長の挨拶に続いて、自民党国際保健医療戦略特命委員会の武見敬三委員長が登壇し、「アジア諸国も日本の医療介護への関心が高く、機は熟しつつある」と謳いあげた。

 政官民挙げての壮大なプロジェクトであることが明瞭で、医療介護の将来の方向を示す舞台であることは確かだ。

 日本の医療介護を優れた産業としてとして捉え、アジア諸国に輸出・進出し、相手国での評価を高めれば、日本に人材を送り込んでくれる。今後急速に高齢社会を迎えるアジア諸国にとっても、また、人手不足に悩む日本にとっても喜ばしいこと、ウィンウィンの関係となるはず。そんな思惑で昨年2月に第1回の共同開催があった。

 前回会議では、中国やタイに進出しているリエイをはじめ、日本理学療法士協会や日本作業療法士協会などが海外進出の現状と将来計画を発表し、海外への発信内容が多かった。

 だが、今年は海外人材の受け入れに焦点が絞られた。介護事業者の間で人手不足が相当に深刻となってきているためだろう。それは、会議の冒頭に事務局を担うメディヴァの代表、大石佳能子さんの現状報告からも十分うかがえる。

「アジア諸国との給与格差が縮まりつつあることや一般的な介護サービスの概念がないことが懸念される。悪徳ブローカーの介入も問題である。だが、各国に相談窓口が増えており、国を挙げて日本との交流に前向きなベトナムのような動きも出てきた」と受け入れの際の人材問題を説明。具体的な課題として「入国時のN4取得は難しく、来日の翌年のN3はさらに困難だという声が各国で高まっている」と指摘した。

 反発が強いN3問題を解決するため着手されたのが新しい日本語テストの開発である。アジア健康構想協議会では、介護の専門家や日本語教育者などによる検討会を設置し、近々検討結果を発表する。この新規日本語テストの標準型を基に、複数の民間事業者がテスト案を作成し、同協議会の審査を経て承認され実施することになる。

 同協議会では、新しい日本語テストを「介護版can-do」と称している。介護の実習生はこの春にも来日し、来夏には新しい日本語テスト受けることができる。