具体的に考えてみよう。仮に自分の運用ポリシーの中で、外国株式の比率を10%と定めたとする。そこでiDeCoにおける資産配分も10%とした場合どうなるか。仮にその人のiDeCoの資産の割合が、自分の金融資産の1割程度であり、他に外国株式資産を持っていないのであれば、その保有割合は、10%×10%=1%しかないということになる。

 iDeCoであれ、何であれ、お金に色はついていない。だから、金融資産全体のトータルで考えないとあまり意味はない。つまり、分散投資自体は大事なことだが、iDeCoの中だけで分散投資をしても仕方がないのだ。

 では、具体的にiDeCoにおける資産配分はどう考えればいいのだろうか。これはリスク許容度にもよるが、筆者が考える最も合理的な資産配分は、iDeCoにおいては期待リターンの高いリスク資産を充てるべきだということである。

 その理由は、運用益に対して税金がかからないからだ。リスク資産で運用した結果、仮に3%の収益が得られた場合、課税分の0.6%(税率を20%とした場合)に相当する部分がメリットとなる。ところが定期預金の場合だと、現時点での金利はせいぜい0.1%程度。それを非課税にしても得られるメリットは0.02%程度しかない。

 つまり、多くの利益が期待できるものに対して、非課税を適用すべきである。もちろん、預金が不要だというわけではないが、それは普通に課税口座でやればいい。今は、課税でも非課税でも大差はないからだ。

誤解その2 60歳まで引き出せないのはデメリット

 一般的に「60歳まで引き出せない」というのは、iDeCoのデメリットであるかのごとく言われているが、筆者は必ずしもそうは思わない。むしろこれは大きなメリットだと考えている。

 iDeCoの本来の目的は、60歳以降、つまりリタイアした後の生活を支える手段の一つである。ところが、もしいつでも現金での引き出しが可能であれば、何らかの事情で資金を必要とする時に、つい引き出してしまいがちになるのが普通の人間の心理だ。行動経済学でもこの傾向は確認されている。

 遠い将来に安心して老後生活を送ることを優先し、現在の楽しみを我慢するというのは、なかなか困難なことである。だとすれば、最初から「60歳までは引き出すことが出来ない」という仕組みにしておくことには、一定の合理性がある。