大人のための世界に一つだけのそれぞれの成長法
秋元 ありがとうございます。まずは、坪田さんの『世界に一つだけの勉強法』の話をしましょう。実は僕、こんなに一生懸命、本を読んだのは久しぶりですよ。
拝読した第一印象は、これは確かに世界に一つだけの勉強法なのだけれど「大人のための世界に一つだけのそれぞれの成長法」というふうにも読み替えられる。つまり、大人にとってもすんなりくる本だと思いました。
坪田 ありがとうございます。まさにそうですね。
秋元 そうやって思って改めて読み直すと、とても納得できました。坪田さんが書かれた勉強法ときくと、瞬間に受験本のようなイメージを持たれる方もいるでしょうが、この本に書かれているのは大人にとっての成長法だし、仕事術とか生き方術だと思いました。もう一つは僭越ながら、僕と同じように感じておられることが多いんだなとも思いました。
坪田 例えば、どんなところですか?
秋元 試験の問題みたいですね。例題ですか。
坪田 (笑)
秋元 例えば「枠を外す」という話がありましたよね。これも、今の大学までの教育の話で言うと、与えられた中でどう答えを出すかという枠に縛られている。自分が納得すればいいことを選べばいいのに、与えられたもののなかから答えを出そうとする。枠を外すというのは、自分は「~できる」という考え方であるということ。枠を外して長いスパンと大きな視野で物事を捉え直すこと。僕の本でも、「見えない枠」に気づき、そして自由になるための方法を書きました。
坪田 ありがとうございます。塾をやっている僕がずっと思っていたのは「志望校は」と尋ねると、生徒のほぼ全員が日本の大学を言うのです。そこは別にハーバードでもいいし、北京大学でも、ミラノ大学でも、マニラ大学でも、プノンペン大学でもいい。もっと言うと、極端な話、学校の名前ではなく「僕はこういうことをやりたいです」「志望校なんてどうでもいいです」みたいな、そういう答えをちょっと期待するのですよ。
秋元 なるほど、ハードルの高い期待ですが、わかります、わかります。
坪田 そういう人が1000人いたら1人ぐらいいてもいいんじゃないのと思うのです。みんな自分の今の模試の偏差値で考えたらC判定、B判定ぐらいのところを言う。そういうとき、僕は教育って何なんだろうなと考えてしまいます。