既存のモノを利用すればいい

逆に、予算が限られていると、イノベーティブな考え方が生まれやすくなる。

おカネもリソースもないからこそ、野心的な起業家ならとくに過激なアイデアを思いつくことがある。

彼らはすばしこく動き、他の人が見落としたことや、無理だと思ったことに挑戦する。

おカネがなければ常識外のことを考える。

普通の計画を実行する時間もリソースもないからだ。

自宅のどこかをおカネをかけず手っ取り早く修理したい時と同じだ。

部品もないし、ホームセンターに行く時間もない時のことを考えてほしい。

頭を使えば、何かいい方法を思いつくものだ。

制約があると、工夫せざるを得なくなる。

スタートアップも同じだ。

おカネがないために新しいテクノロジーを発明できなくて、やむをえず既存のテクノロジーやツールをこれまでにない方法で活用しようとするスタートアップも多い。

ここからイノベーションが生まれる。

既存の技術とサービスを組み合わせて、新しい何かを創り出せば、自分たちで開発するより速く安く市場に提供できるようになる。

既存のテクノロジーを利用することの利点は多い。

・研究開発に時間を使わなくていい
・ほとんどのバグが判明している
・製造の心配をしなくていい
・自分たちで開発するよりはるかに安い
・オンラインでも紙でも詳しい仕様が記録されている
・行き詰まったら、誰かの助けを借りて問題を解決できる
・おカネを払えばプロの支援を受けられる
・すでに誰かがやったことを繰り返さずに済む

既存のテクノロジーは、新しいものよりも速く広く普及しやすいことも、重要な利点だ。

すでに検証され、ユーザーにも馴染みがあるために、多くの人が取り入れやすい。

もし〈ウーバー〉が、スマホではなく独自の車両呼び出し機器を発明していたらどうなっていただろう?

絶対に失敗していたはずだ。

だから、証明され、市場で利用されているテクノロジーを使うことには大きな利点がある。