グーグルもアマゾンも
単純な機能から始めた

たとえば〈ツイッター〉がそうだった。

もともとは、オデオという潰れそうなポッドキャスト会社が、副業として始めたプロジェクトだった。

彼らの目標は、簡単に使える超短いブログツールを作ることだった。

優秀なエンジニアが1週間かそこらで、ツイッターの原型をプログラミングしたのが始まりだった。

利用者のターゲットは狭く、機能も最低限のものだった。

発表した時は、海のものとも山のものともつかなかった。

しかし、意外にもユーザーはそれを気に入り、SXSW(毎年3月に米国オースティンで開催される音楽や映画やインタラクティブの大イベント)で拡散されて、全世界がツイッターに飛び乗った。

ツイッターの成功の決め手は、単純で機能が限られていたことだと僕は思っている。

ターゲットを絞ることで、彼らは誰もが一瞬で理解できて使い始められるプロダクトを作り出した。

それに独自の機能が組み合わさって、ツイッターは多くの人の心を捉えることがで
きた。

偉大なスタートアップの始まりは、たいていそんなものだ。

〈ドロップボックス〉を見るといい。クラウドストレージを提供していたスタートアップは他にもあるが、ドロップボックスは単純で使いやすかったので、すぐにヒットした。

グーグルもそうだ。始まりはただの検索ボックスだった。

〈アドワーズ〉も〈Gメール〉も〈グーグルアナリティクス〉も〈グーグルドキュメント〉も〈グーグルマップ〉も、その他の機能はなかった。

最高の検索エンジンを構築することが、彼らの目標だった。

ヤフーははるかに先行していたけれど、ヤフーの検索エンジンはインターフェースがごちゃごちゃしていて、結局は検索機能のすべてがお払い箱になった。

グーグルはシンプルさを維持し、ライバルをすべて打ち負かした。

小さく始めた会社の一番有名な例はアマゾンだ。

はじめから世界中のすべてのものを売ると宣言していたわけではない。

1つのカテゴリだけに狙いを絞り、そこに集中した。

それが書籍だった。

オンラインで売るのが一番簡単そうだったからだ。

世の中には数百万冊もの書籍があり、書店にすべてを収めることは不可能だ。

腐るものではないし、配送も簡単。

それに、人は本が好きだ。

その選択はドンピシャで、アマゾンはそこから軌道に乗り今日に至っている。