人は一番いいものがあるところに行く

初期の段階で1つのことが本当にうまくできたスタートアップは、成功する可能性が高い。

数えきれないほどの機能があっても役に立たない。

それは失敗のもとだ。

外食の時のことを考えてほしい。

「何を食べようか? ピザ? 一番美味しいピザ屋はどこだろう?」と探す時、ピザも寿司も中華料理もある店は怪しいとすぐにわかる。

プロダクト選びもレストラン選びと同じ。

欲しいものがあれば、人は一番いいものがあるところに行く。

僕たちのところにやって来たスタートアップに、よくこんな質問をする。

「君たちのプロダクトがユーザーのためにできる一番大切なことは何だろう?」

チームはそこに99%の時間と労力をつぎ込むべきだ。

それ以外の機能はあとでいい。

コアの部分がうまくいかないと、その他すべてがうまくいかない。

たくさんの新しい機能を上乗せしても、プロダクトやサービスの核になる価値は変わらない。

僕はいつも創業者に、コアの機能から始めて、そこから外側に広げるべきだとアドバイスしている。

外から始めて内側を固めるのではない。

核から始めることで、出発点と目標が明確になる。

チームが何に集中すべきかがはっきりする。

コアになる部分に絶対に欠かせない機能でなければ、後回しにしたほうがいい。MVP(実用最小限プロダクト)を開発するコツは、コアの価値だけに集中して他に何もしないことだ。

そのためにはプロダクトをできる限り早くユーザーに届け、フィードバックを得て修正し、本当にユーザーのほしいものを作ることだ。

そう言うと簡単に聞こえるが、スタートアップはいつもここで苦労する。

MVPを発表しても、ユーザーが気にも留めてくれないことはしょっちゅうだ。

そこで、別の機能を付け加えれば、魔法のように軌道に乗ると誤解してしまうスタートアップも多い。

絶対にそんなことはない。

逆に、チームは自らを欺き、時間とおカネを使い、結局失敗してしまう。