企業の多くが民営になった現在も、日本よりはるかに女性管理職が多いのはまったく同じである。
やはりまだ最高層には多少の男女差があるが、その反動として中間管理職に女性が非常に多い。中国の銀行に行くと、テラー(窓口の係員)は男女半々だが、後ろに座って彼らを管理するのは、女性が多い。そもそも各年代に男性と同じ比率で女性がいる。
また、起業家、実業家も非常に多い。
世界売上No.1エアコンメーカー、格力のトップを長く務めたのは、販売員からたたき上げたシングルマザーの60代の女性であるし、シェアサイクルの代表的1社も上海の30代の女性起業家である。
こういうことには歴史があって、中国は1949年の新中国建国後に、毛沢東が女性解放の大号令を出した。
そしてまずやったのが、各単位(当時の企業に代わる所属組織)に、託児所を全部つけることである。女性に外で仕事をしてもらうなら、それはいる、という非常に当たり前の判断である。
しかも預ける時間が、保育園でも1週間単位である。
「えーっ!なんかさみしくないですか?」と驚いたら、「全然。仕事できていいですよ」と答えた北京大学の80代の女性教授がいたが、ま、とにかくやった。
「働かぬ女は金持ちの妾」とまでの人格否定の極端なスローガンを掲げるのが中国だが、今、80代、90代の女性でも若い時は、基本、有職である。
ちなみに私の実家の会社でも、女性オペレーターがいて、会社の一室を託児所のようにしていた。私は小学校から帰ったら、そこで過ごすこともよくあった。
1970年代の当時から、大阪市内では託児所不足が言われており、建国時の混乱下の中国や、昭和の大阪の中小企業にできたことが、日本全体で未だ解決していないとは、要するに「日本は女性活用に本気ではないんだな」と思ってみている。
おじさんたちはヘタに託児所などつくって、女に会社に居座られたら困ると考えていた。女性をパートとして安く使えなくもなる。
今は人手不足で、その分、女性が自分たちで無理をして都合をつけ、適当に社会に出てきて低賃金で働いてくれと。「なら、働かない」と専業主婦が“世捨て人”になるのは、わかる気がする。