それらのケースを除いた引きこもり当時者に対しては、「アミーゴ」と呼ばれるレンタルサポーターを派遣。アミーゴは、引きこもり当事者に無理のないペースで、世間話したり、一緒に外出したりという試みを行う。アミーゴというのは、スペイン語で、親友や友人という意味。「アミーゴの会」という元引きこもりも含む自助グループの学生の中から養成したボランティアだという。

 さて、自宅への訪問は、週2回。訪問1回につき、1時間30分から2時間を基本に、半年間続ける。その時点でも、まだ引きこもり状態が続いている場合は、精神科医を中心とする専門家チームが、自宅訪問を続けることの是非を検討する。

 次に、第2段階では、保健管理センターの専門家チームや地域の連携医療機関が、引きこもり当事者と面会。専門家チームは、アミーゴと会うことによって本人の中で高まった不安や緊張を乗り越えやすくするような医療的なサポートを行う。

 さらに、第3段階では、引きこもり当事者が、家庭以外に“居場所”を求めるようになるのがポイント。彼らは一旦、外出できるようになっても、アミーゴなどの介入を中止してしまうと、再び引きこもり状態に戻ってしまうことが多いため、仲間作りを作っていくことが重要になる。

 そこで、最初の半年間は、専門家の主導する集団精神療法の枠組みの中で、仲間作りのきっかけをつくる。また、専門家以外にも、アミーゴが1~2人加わって、ロール・プレイングや、SST(Social Skills Training)などを実施。対人スキルやコミュニケーションを磨く練習を経て、アミーゴの会に入ってもらう。

 そして、第4段階になると、引きこもっていた学生も、安心して仲間と一緒に過ごせるようになり、大学にも復学。アミーゴや専門家の助けを借りながら、ボランティア活動やアルバイト、就労に向けた取り組みを行っていくというものだ。

 一方で、大学外部から依頼のあった5年以上の引きこもり当事者43人に対しても、試験的にプログラムで受け入れたところ、アミーゴ派遣で外出できるようになったのは、16人だったというから、96%の効果といっても、引きこもり期間や年齢といった影響もあるのだろう。

 ただ、水田教授も指摘するように、地域で長期に引きこもっているケースでも、手を差し伸べることができるかもしれない。鳩山政権も、こうした地道に効果を上げる実践例はどんどん取り入れ、全国で制度化に向けて取り組んでほしいものだ。