ドルコスト平均法で買ったこと自体は、その後、特別に有利でもなければ不利でもない。実際、買い付けのプロセスにおいても、下落相場の時には一括で買うよりもドルコスト平均法の方が高いリターンになるが、上昇相場の時は逆に一括投資の方が高いリターンが得られる。すなわち、どんな相場の状況でも、常にドルコスト平均法が有利ということではないのだ。

本当の効用は
気休め?

 ではドルコスト平均法がいい点は、一体どういうところにあるのだろうか。

 経済評論家の山崎元氏は、「ドルコスト平均法は気休めだ」と表現しているが、これは正しい。これ見てきたとおり、ドルコスト平均法の最大のメリットは、高いリターンが得られることでもリスクが低くなることでもない。

 購入をルール化することで、上がり下がりに対して気を揉む必要がないこと、そして市場の動きに惑わされて不合理な意思決定をしてしまったり、投資判断を下してしまったりすることを防ぐことができるという点にあるのだ。

 多くの人は、株価が下がれば見るのも嫌になるし、積立投資をやめたくなるだろう。逆に、上がればうれしくなって毎日価格をチェックし、余裕があれば買い増しをしたくなるものだ。

 言うまでもなく、これらの行動は極めて不適切なものであることが多い。むしろ下がった時に買い、上がった時は冷静に売るのが賢いやり方だ。とはいえ、人間の心理は往々にして逆の方向に向かいがちとなる。ドルコスト平均法が、そうした行動に走るのを防いでくれるという意味では、一定の効果があると言えるのだ。

 つまり心理学的、行動経済学的に見れば、ドルコスト平均法は人間の感情に左右されることがないため、効果的な取引手法と言ってもいいだろう。あれこれ悩む必要がなく気が休まる、「気休め」と言っていいわけだ。

 ただし、注意すべき点はある。一つは、同じ投資対象に投資し続けるわけだから、リスクが集中してしまうということだ。バランス型のインデックス投信のように、投資対象が初めから分散されているのならまだしも、株式の個別銘柄や金、アクティブ投信といった投資対象の場合は、あまり集中させない方が賢明だ。