コンディショニングも仕事のうち

入社1年目は休息を取るのも「仕事」だ岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)など多数。
(撮影/佐久間ナオヒト)

岩瀬さん アスリートは、試合で最高のパフォーマンスを発揮するために練習するのが仕事です。同様に、体調を整えるのも大切な仕事のひとつです。十分な睡眠をとり、トレーナーやコンディショニング・コーチの指示のもと、入念なストレッチやマッサージを行うことによって、疲労した肉体のコンディショニングを行います。ビジネスパーソンも、アスリートと同じように体調管理、コンディショニングにも気を配る必要があるのです。

Aさん 社会人にとってのコンディショニングとは何でしょうか?

岩瀬さん 最も考えるべきは睡眠だと思います。何はともあれ、睡眠時間を確保していただきたいですね。可能であれば仕事の量を減らし、飲み会の二次会を早く切り上げるなどして、最低でも6時間の睡眠を確保する努力をしてください。

Aさん なかなか時間が取れないときは、どうすればいいでしょうか?

岩瀬さん あきらめてはいけません。時間が取れないのであれば、短い睡眠時間でいかに快適な睡眠を得られるか、智恵を絞りましょう。
私の場合、かつては毎朝シャワーを浴びてから出勤するからと、夜の入浴をしないまま寝ていました。そのせいか、思った以上に体は冷えたまま、短い睡眠では疲労が抜けきらない状態が続いていたのです。このままではいけないと思い、夜も、短い時間でも風呂に入るように生活を変えてみました。すると、寝つきも良くなり、以前より心地よい目覚めが得られるようになりました。

Aさん 枕やベッド、寝具などを工夫してみようと思います。

岩瀬さん それもいいでしょう。問題は、若いときは少々の無理をしても突っ走れてしまうことです。徹夜や終電で帰る状態が続いても、体力に任せて何とか乗りきれてしまいますよね。そこに過信することなく、いざ本番!というときに自身のパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、毎日を意識的に過ごしてください。

Aさん といいつつも、土日は昼過ぎまで寝ています。「今週も何もしなかった」と日曜の夜に後悔することだけは避けたいのですが、それでもやはり、睡眠を優先すべきでしょうか?

岩瀬さん 人間として、体を休めたほうがいいのはたしかです。週末に寝ていたいと思うのは、平日の疲れが溜まっているからなので、寝ていてもいいと思います。仕事に慣れれば、だんだんと週末の睡眠時間も減ってくるでしょう。週末は「平日のための充電」と考えれば、罪悪感もなくなりますよ。

Aさん そう言われると、安心して今夜はゆっくり眠れそうです!

入社1年目は休息を取るのも「仕事」だ

『入社1年目の教科書』の50のルール42「休息を取ることも『仕事』だ」の理由がわかりました。
次回は、週明けの月曜日に「金曜日の飲み会のお礼」を上司に伝えたら、なんだか気まずい雰囲気になってしまったという新入社員のお悩みに、岩瀬さんが答えます。上司と部下は、まったく違うことを考えていたりするもの。そのギャップはどこにあるのか? お楽しみに。
(2018年4月9日更新予定)

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。